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2012年 イタリアGPレビュー【若きペレスのスーパードライブ】

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 この時点で既に抜群のタイヤマネジメント能力に定評があったペレス。今回はそんなペレスが中団から凄まじい追い上げを見せ、2位表彰台を獲得した2012年イタリアGPをお送りしよう。

 なお、最初に1. レースのあらすじ、次に2. 詳細な分析を記した。

1. レースのあらすじ

 予選は結果は以下の通りとなった。

POSDRIVERCARQ1Q2Q3
1Lewis HamiltonMCLAREN MERCEDES1:24.2111:24.3941:24.010
2Jenson ButtonMCLAREN MERCEDES1:24.6721:24.2551:24.133
3Felipe MassaFERRARI1:24.8821:24.5051:24.247
4Paul di RestaFORCE INDIA MERCEDES1:24.8751:24.3451:24.304
5Michael SchumacherMERCEDES1:25.3021:24.6751:24.540
6Sebastian VettelRED BULL RACING RENAULT1:25.0111:24.6871:24.802
7Nico RosbergMERCEDES1:24.6891:24.5151:24.833
8Kimi RäikkönenLOTUS RENAULT1:25.1511:24.7421:24.855
9Kamui KobayashiSAUBER FERRARI1:25.3171:24.6831:25.109
10Fernando AlonsoFERRARI1:24.1751:24.2421:25.678
11Mark WebberRED BULL RACING RENAULT1:25.5561:24.809
12Pastor MaldonadoWILLIAMS RENAULT1:25.1031:24.820
13Sergio PerezSAUBER FERRARI1:25.3001:24.901
14Bruno SennaWILLIAMS RENAULT1:25.1351:25.042
15Daniel RicciardoSTR FERRARI1:25.7281:25.312
16Jerome d’AmbrosioLOTUS RENAULT1:25.8341:25.408
17Jean-Eric VergneSTR FERRARI1:25.6491:25.441
18Heikki KovalainenCATERHAM RENAULT1:26.382
19Vitaly PetrovCATERHAM RENAULT1:26.887
20Timo GlockMARUSSIA COSWORTH1:27.039
21Charles PicMARUSSIA COSWORTH1:27.073
22Narain KarthikeyanHRT COSWORTH1:27.441
23Pedro de la RosaHRT COSWORTH1:27.629
Nico HulkenbergFORCE INDIA MERCEDESDNF

 上位勢が揃ってオプションタイヤでのスタートを選択する中、予選で13番手につけたペレスはプライムタイヤでスタートする。そしてレース序盤からディレスタ、小林をオーバーテイクし、ライコネンの背後に迫る。

 17周目にライコネンをオーバーテイクすると、その後も好ペースを維持。29周目にピットストップを行うとライコネンの後方でコースに戻る。

 そこからはオーバーテイクショーの開演だ。37周目にライコネンを交わすと、43周目のパラボリカで3番手のマッサを、46周目のアスカリで2番手のアロンソを仕留めた。

 そこからも全力でプッシュしハミルトンを追うが、ハミルトンも負けずとペースアップ。1周あたり約1秒のペース差ではあと数周足りず、2位チェッカーとなった。

 決勝結果は以下の通りとなった。

POSDRIVERCARLAPSTIME/RETIREDPTS
1Lewis HamiltonMCLAREN MERCEDES531:19:41.22125
2Sergio PerezSAUBER FERRARI53+4.356s18
3Fernando AlonsoFERRARI53+20.594s15
4Felipe MassaFERRARI53+29.667s12
5Kimi RäikkönenLOTUS RENAULT53+30.881s10
6Michael SchumacherMERCEDES53+31.259s8
7Nico RosbergMERCEDES53+33.550s6
8Paul di RestaFORCE INDIA MERCEDES53+41.057s4
9Kamui KobayashiSAUBER FERRARI53+43.898s2
10Bruno SennaWILLIAMS RENAULT53+48.144s1
11Pastor MaldonadoWILLIAMS RENAULT53+48.682s0
12Daniel RicciardoSTR FERRARI53+50.316s0
13Jerome d’AmbrosioLOTUS RENAULT53+75.861s0
14Heikki KovalainenCATERHAM RENAULT52+1 lap0
15Vitaly PetrovCATERHAM RENAULT52+1 lap0
16Charles PicMARUSSIA COSWORTH52+1 lap0
17Timo GlockMARUSSIA COSWORTH52+1 lap0
18Pedro de la RosaHRT COSWORTH52+1 lap0
19Narain KarthikeyanHRT COSWORTH52+1 lap0
20Mark WebberRED BULL RACING RENAULT51DNF0
21Nico HulkenbergFORCE INDIA MERCEDES50DNF0
22Sebastian VettelRED BULL RACING RENAULT47DNF0
Jenson ButtonMCLAREN MERCEDES32DNF0
Jean-Eric VergneSTR FERRARI8DNF0

2. 詳細なレース分析

 まずはペレスとライバル勢のレースペースを見てみよう。チームメイトの小林と、トップのハミルトン、3位のアロンソを示した。

図1 ペレス、小林、ハミルトン、アロンソのレースペース

 ペレスはプライムスタートのため、オプションスタート勢と純粋なペース差を比較するには、それぞれのスティントでのペースを比較して連立方程式を解く必要がある。

 その上でタイヤの履歴の差も考慮すると、ペレスは小林を1.1秒ほど上回っていたと言えそうだ。ペレスは2011年から時折レースペースで非常に印象的なパフォーマンスを見せており、今回もマシンの性能を完璧に引き出す見事な走りだった。

 ペレスは第1スティント前半でオーバーテイクを連発しながらでも、タイヤを傷めないバトルができていたこともグラフから読み取れる。第1スティント後半では好ペースを保ち、且つスティントを伸ばしている。これにより第2スティントでのペースがより突出したものになっている。

 ハミルトンは第1スティントで十分なリードを築き、第2スティントはアロンソと似たり寄ったりのペースだが、ペレスが脅威になると分かったレース終盤でペースアップしており、それまでコントロールしていたことが読み取れる。

 チーム内比較と同様にペレスとアロンソで連立方程式を組んで、同条件での純粋なレースペースを比較すると、ペレスの方が0.3秒速く、単にプライムスタートが当たった訳ではなく、純粋なペースでフェラーリ勢を上回っての2位表彰台だったことが分かる。

 現在もレッドブルでフェルスタッペンのチームメイトとして光る走りを見せているペレス。この時点でかなりの才能を見せていたことが非常に明確に示されたレースだったと言えるだろう。

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Writer: Takumi