• 2024/11/21 15:27

2016年マレーシアGPレビュー 〜ifの世界のリカルドvsフェルスタッペン〜

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 今回は2016年のマレーシアGPを取り上げる。序盤のVSC時にフェルスタッペンはピットストップを行ったが、リカルドはステイアウト。戦略の異なる2人は39周目にコース上で4つのコーナーに渡るサイドバイサイドのバトルを展開した。

 現実のレースは41周目にハミルトンのエンジンがブロー。これによりVSCが入ったことで、リカルドとフェルスタッペンは両者ともピットへ。フェルスタッペンとしては新しいタイヤのアドバンテージが消えてしまい、そのままリカルドの2016年初勝利となった。

 しかし、ハミルトンのエンジンブローがなかったらどうなっていたのか?レッドブルの内部でも進んでいたと思われるシミュレーションを当サイトでも吟味してみよう。

 図1にフェルスタッペンとリカルドのレースペースとギャップグラフを示す。ギャップグラフはフェルスタッペンを0とし、リカルドが前にいる場合をプラスとして表した。

図1 リカルドとフェルスタッペンのレースペース
図2 リカルドに対するフェルスタッペンの位置関係

 27周目にリカルドと同じスーパーソフトタイヤに履き替えたフェルスタッペンは、1周あたり0.4秒のペース差で追い上げた。そして37周目付近でリカルドの背後に迫ると、39周目のターン4でアウトから並びかけてクロスラインにスイッチ。ターン5,6そしてターン7の進入までサイドバイサイドのバトルが続いた。

 ひとまずフェルスタッペンの猛攻を凌いだリカルド。しかしここでVSC出動がなかった場合、図3のような展開になるだろう。ここではリカルドが42周目にピットインする場合を想定する。

図3 リカルドに対するフェルスタッペンの位置関係

 図1を見ると、新品のソフトタイヤに履き替えたリカルドは、フェルスタッペンより1.7秒ほど速く走れそうだ。フェルスタッペンの22秒後方に戻ったとして13周で追いつく計算で、ラスト2周前後でのバトルとなった可能性が最も高い。また、このペース差ならばオーバーテイクは容易で、レース終盤でのリカルドの逆転となっていたと考えられる。

 そして、だからこそ39周目の攻防には大きな意味がある。仮にあそこでリカルドが無抵抗で抜かれていた場合、図3で40周目以降のリカルドの位置が下方に平行移動することになる。こうなると、リカルドとしてはレース最終盤に追いつくのが厳しくなってしまう。よって、39周目にペース上のアドバンテージがあったフェルスタッペンを足止めすることに成功したのは、このifの世界でもリカルドが勝利する上でのキーポイントだったと言えるだろう。

 何れにせよ、ハミルトンのエンジンブローによるVSC出動がなければ、レース最終盤の我々はレッドブル勢による手に汗握る2位争いを目にしていたかもしれない。 

Writer: Takumi