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2022年アブダビGP レースペース分析

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2022/11/22 修正:ハードタイヤのペレスのペースを0.1秒下方修正。それに伴い総合結果のルクレールとサインツを0.1秒ずつ上方修正。

1. 分析結果と結論

 表1,2,3にタイヤごとのレースペースを示す。ミディアムタイヤ(以下ミディアム)については前後半に分けて分析を行った。

表1 ミディアムタイヤ(第1スティント)でのレースペース

表2 ミディアムタイヤ(レース後半)でのレースペース

表3 ハードタイヤでのレースペース

 なお、ハードタイヤ(以下ハード)でのフェルスタッペンのペースは、ルクレールを見ながらタイヤマネジメントに徹して最小限のペースで走った結果と考えられるため、フェルスタッペンの実力と見なすべきではないだろう。

 最後に、これらを総合した全体のレースペースを表3に示す。

表4 全体のレースペースの勢力図

 前述の理由からフェルスタッペンについてはミディアムでのペースを基準とした。

 またラッセル、ノリス、アルボン、ラティフィは全スティントで比較可能だったが、ラッセルは最終スティントで大きくペースアップしたため、平均を総合結果とすると他に対して0.1秒ゲインする。よって表1,2でしか比較できないライバルたちに対する差は、表1,2共通のペレスとの0.4秒差に0.1秒を上乗せしたものを総合結果とした。

 また、中団勢も全ドライバーがノリスとの直接・間接的な比較によって算出されていることから、ラッセルと同様に0.1秒を上乗せした。

レースペースを振り返って

 レッドブルがフェラーリに対してアドバンテージを握っていたのは明らかだ。その中でもルクレールが特にミディアムで良いペースを見せ、第1スティントを引っ張ることに成功したことで、後半のハードタイヤ(以下ハード)のスティントで不利を帳消しにできたと解釈することもできる。

 ラッセルは第1スティントではサインツに及ばないペースだったが、第2スティントでは逆転、第3スティントになると序盤で苦戦したミディアムにも関わらず、中団勢やサインツとの比較で考えて0.5秒前後ペースアップしたと考えられる。メルセデスはレース後半で力を増すセットアップだったのかもしれない。

 また、ダメージがあったため表には記さなかったが、ハミルトンはラッセルよりも0.1秒ほど速く、今回のメルセデスは見た目ほど悪く無かった。ハミルトンにダメージが無かった場合にペレス、ルクレールとのレースがどうなったのかは興味がある部分だ。

 中団勢ではボッタスの後半のスティントの出来が良く、ここ最近のアルファロメオの戦闘力向上の著しさが見受けられる。またノリスと同等のペースを発揮したのがストロールで、アストンマーティンも進歩の目覚ましいチームの一つと言えるだろう。

 またハードはミディアムよりも少しだけ優れたタイヤだったように見受けられる。ラッセルとサインツの比較ではミディアムの方が0.1秒速い結果が出たが、オコンとノリスの関係で見た時はハードが0.2秒優れている。前述の通りラッセルの最終スティントの出来が良いことも踏まえると、後者の数字が妥当と見るべきだろう。

2. 分析方法について

 フューエルエフェクトは0.06[s/lap]とし、グラフの傾きからデグラデーション値を算出。タイヤの履歴からイコールコンディションでのレースペースを導出した。また、クリア・ダーティエアやレースの文脈も考慮している。

 各ドライバーのクリアエア・ダーティエアの状況把握は、全車の走行状態をこちらの記事にまとめ行った。

各ドライバーの使用タイヤはこちらのピレリ公式より

 また、今回は予選で使用したソフトと新品ソフトの差、スクラブ済みと新品のミディアム・ハードの差は無視することとした。

 また、スティント前半でダーティエアでも、途中からクリアエアになっており、かつ前半のダーティエア内でもタイヤを労われていて極端なペースダウンでもない場合、スティント全体をクリアエアのように扱ってよいと考え、当サイトではその状態をオープンエンドクリアエア(OEC)と定義している。

3. 付録

 参考までに、分析に使用したグラフを添付する。

※チームメイト間の比較は全車の走行状態を参照のこと

Analyst: Takumi