• 2025/6/23 10:50

2025年スペインGP レースペース分析

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1. 分析結果

 タイヤ・燃料・ダーティエアや全力で走る必要性などの諸条件を考慮に入れると、レース全体でのペースの力関係について、定量的にわかる範囲で、以下のことが言えた。

表1 ソフトタイヤでのレースペース(レース序盤)

 

表2 ソフトタイヤでのレースペース(レース中盤以降) 1

 

表3 ソフトタイヤでのレースペース(レース中盤以降) 2

 

表4 ミディアムタイヤでのレースペース

 

 さらにこれらを総合すると、レース全体でのペースの力関係も以下のように理解することができるだろう。

表5 全体のレースペース

 

図1 全体のレースペース(visualized)

 

注意点

 今回から、スティント序盤に飛ばしたり、逆にスローイントロダクションを行うことによるその後のペースへの影響も、加味することとした。

分析結果を振り返って

 第1スティントではマクラーレン勢が新品、フェルスタッペンが中古だったため、実際の力関係より差が大きく見えたが、実際はその後の展開からも明らかなように、ペースは接近していた。またフェラーリは予選では今ひとつだが、レースディスタンスでは競争力を発揮しており、これも今年の車の傾向として見ることができる。

 またヒュルケンベルグは、早めにピットに入り、長めの第2スティントだったにも関わらず、ハイペースをキープしており、非常に競争力があった。

2. 分析方法について

 フューエルエフェクトは0.06[s/lap]とし、グラフの傾きからデグラデーション値を算出。タイヤの履歴からイコールコンディションでのレースペースを導出した。スティントの長さも考慮し、同じスティントの長さを走った場合のペースを算出している。計算方法は以下の通りである。

・両ドライバーのデグラデーションが一定の場合

・デグラデーションが途中で変化する場合

 また、クリア・ダーティエアやスティントの長さ、プッシュするインセンティブなどのレース文脈も考慮している。また、スティントの始めに飛ばした際に後のペースに与える悪影響、ゆっくり入った場合の好影響についても加味した。定量的に導出できないドライバーについては結論を出さず、信頼できる数字のみを公開する方針としている。

 また、スティント前半でダーティエアでも、途中からクリアエアになっており、かつ前半のダーティエア内でもタイヤを労われていて極端なペースダウンでもない場合、スティント全体をクリアエアのように扱ってよいと考え、当サイトではその状態をオープンエンドクリアエア(OEC)と定義している。

 また、分析対象はドライコンディションのみに限定している。

各ドライバーの使用タイヤはピレリ公式より

 今回は予選で使用したソフトと新品ソフトの差を0.2秒とし、スクラブ済みと新品のミディアム・ハードの差は無視することとした。

3. インタラクティブグラフ

 さて、これらの分析の背景情報を把握するには、各車のペースグラフとギャップグラフを見るのが有効だ。自身で、ラップタイム比較を可視化して確認したり、より深い洞察を行ったりしたい方には、こちらのグラフを使っていただければ幸いだ。

 各車のペースグラフとギャップグラフをインタラクティブな形にしており、ボタン操作で見たいドライバーだけを表示できる。ラップタイムグラフにおいて、ダーティエアのラップ(前方2秒以内に他車がいる)は各データ点を白抜き、クリアエアのラップは塗りつぶしてあるため、レース文脈も把握しやすい。右上のボタンでダウンロードやズームなども可能だ。

 ぜひ、ご活用いただきたい。

Race Lap Time Interactive Graph

Lap Times

Drivers: VERTSUNORPIALECHAMRUSANTALOSTRGASCOLOCOBEAHADLAWALBSAIHULBOR
−101234561:15.0001:16.0001:17.0001:18.0001:19.0001:20.0001:21.0001:22.0001:23.000
LapTime (m:s)

Gap to Leader

注意点:

ラップタイムグラフにおいて、ダーティエアのラップ(前方2秒以内に他車がいる)は各データ点を白抜き、クリアエアのラップは塗りつぶした。

Takumi