※8/9修正:ルクレールの値を0.1秒下方修正。第1スティントでピアストリと互角かやや速く、第2スティントは1周新しいタイヤで2秒弱の差で追走されており、僅差ではあるが劣勢。GPT-5と再度ディスカッションした結果、0.1秒下に修正することとした。
1. 目的
今回の分析では、各ドライバーの「本来のレースペース」をできるだけ公平に比較することを目指した。
レース中のラップタイムは、燃料の重さ、タイヤの状態、路面コンディションの変化、そして前を走る車の乱気流(ダーティエア)など、さまざまな要因に左右される。そこで、これらの影響を可能な限り取り除き、同じ条件に揃えたときに誰がどれだけ速かったのかを数値で示す。
2. 結果
表1 全体のレースペース
Driver | Gap |
Lando NORRIS | 0.0 |
Charles LECLERC | +0.1 |
Oscar PIASTRI | +0.1 |
George RUSSELL | +0.3 |
Nico HULKENBERG | +0.6 |
Max VERSTAPPEN | +0.7 |
Kimi ANTONELLI | +0.9 |
Fernando ALONSO | +0.9 |
Gabriel BORTOLETO | +1.0 |
Lance STROLL | +1.0 |
Liam LAWSON | +1.0 |
Franco COLAPINTO | +1.3 |
Alexander ALBON | +1.4 |
Carlos SAINZ | +1.4 |
Esteban OCON | +1.6 |
※ルクレールは第3スティントを除外して評価。
参考
ちなみにサンプルとして有効なラップ数が十分でなかったドライバーについては、ハミルトンがルクレールの0.7秒落ち、ハジャーが0.9秒落ちであった。
グラフによる可視化

3. 考察
- ノリスとルクレール、ピアストリらが僅差のペースを見せた。ルクレールにシャシーの問題が発生しなければ三つ巴の優勝争いが見られたと思われるだけに、勿体無いトラブルであった。
- ペナルティで後方に下がったヒュルケンベルグが、激戦の中団勢トップの光るスピードを見せた。
4. データと前提条件
- 入力データは全ラップタイム(TSV形式)と、レース中のタイヤ使用履歴。
- フィーエルエフェクトはハンガリーの平均値である0.06秒/周を使用。
- ルクレールは第3スティントでマシンダメージを負ったため、第2スティントまでのデータだけを評価に使った。
- 「前走車とのギャップが2.0秒以上」または「レースリーダー(前車なし)」をクリアエアと定義。
5. 手法
5.1. 目的と出力
- 目的は、レース中のラップを**同一条件(31周スティント/C4新品相当)**へ写像して、純粋なレースペースを比較すること。
- 出力は Driver / Gap(s/lap)。Gapは最速との差で、**小数第1位(0.1s)**まで表示。
5.2. データと前処理
- 入力:周回別ラップタイムTSV(
Lap
列+各ドライバー列、M:SS.sss
)。 - スティント構造:各ドライバーの
(開始Lap, 終了Lap, Compound{C3/C4/C5}, new/used)
を付与。 - 車間ギャップは各周の累積走行時間による順位から前走車との差を再構成(先頭は欠損=クリア扱い)。
- 燃料補正:
t_fuel = lap_time − 0.06 × (lap − LapRef)
(ハンガリーは 0.06 s/lap、LapRef=レース中間周
)。
5.3. ラップ採否(eligible)— “実力が出せた周”だけを使う
◎除外
- レース開幕の Lap1–2(混乱回避)。
- アウト/インラップ。
- DRS継続バトル:
gap ≤ 1.0s
が3周以上連続した区間を除外し、直後2周も除外。- さらに10周以上継続し、その**≥60%が0.7s以内**なら、そのスティント残り全部を除外(“後遺症”対策)。
- 外れ値:各スティントの5周ローリング中央値から ±0.8 s を超える周は除外。
- ダメージ指示がある場合は該当スティントを除外(例:ルクレール第3スティント以降)。
- 必要に応じて強制除外(例:アロンソL3=追い抜かれで極端に遅い周)。
◎採用
- クリアエア:
gap ≥ 2.0s
または先頭は採用。 - 「軽追走→クリア化」も採用:同一スティント内で
1.0 < gap < 2.0
の周があり、直後にクリアエアが3周以上連続(おおむね10周以内に到来)する場合、
その1.0–2.0s
の周も実力発揮区間として採用。
→ 「前半で抑えて後半伸ばす」ケースを、バトルとは区別して評価するため。
5.4. 路面進化の補正
- 採用周だけで周回ごとの中央値を取り、
LapRef
にアンカー(Δ=0)して路面の差分を引く。
5.5. タイヤ差・デグの同条件化(回帰)
- 目的変数:路面補正後の
t_corr
。 - モデル:
- 切片 + ドライバー固定効果(基準は任意の1名)
- コンパウンド・オフセット(C4を0、C3とC5に係数)
- 周齢傾き:
age × {C3, C4, C5}
(直線)
- 中古タイヤの不利は無視する。
- こうして各ドライバーのC3版・C4版の31周平均(age=1..31 を平均)を求める。
集計
- 表示は Driver / Gap(最速との差)。**サンプル不足(採用<12周)**は表から除外。
6. インタラクティブグラフ
さて、これらの分析の背景情報を把握するには、各車のペースグラフとギャップグラフを見るのが有効だ。自身で、ラップタイム比較を可視化して確認したり、より深い洞察を行ったりしたい方には、こちらのグラフを使っていただければ幸いだ。
各車のペースグラフとギャップグラフをインタラクティブな形にしており、ボタン操作で見たいドライバーだけを表示できる。ラップタイムグラフにおいて、ダーティエアのラップ(前方2秒以内に他車がいる)は各データ点を白抜き、クリアエアのラップは塗りつぶしてあるため、レース文脈も把握しやすい。右上のボタンでダウンロードやズームなども可能だ。
ぜひ、ご活用いただきたい。
Lap Times
Gap to Leader
注意点:
ラップタイムグラフにおいて、ダーティエアのラップ(前方2秒以内に他車がいる)は各データ点を白抜き、クリアエアのラップは塗りつぶした。
Takumi, ChatGPT (GPT-5)