• 2024/4/20 19:12

2022年エミリア・ロマーニャGP レビュー(2)〜角田の好走と中団勢の戦い〜

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 今回はアルファタウリの角田が、レース後半で猛烈な追い上げを見せ、日本のF1ファンを沸かせた。こちらの記事ではそんな角田を中心に中団勢のレースを振り返っていこう。

予選・決勝結果

F1用語の解説集はこちら

各ドライバーの使用タイヤはこちらのピレリ公式より

1. ドライでタイヤに優しかったアルファタウリ

 角田はダンプ(ちょい濡れ)コンディションの予選で下位に沈んでしまったものの、スプリントレースで12位まで挽回。レースでの追い上げに注目が集まった。まず図1に20周目までのウェットレースでのペースをガスリーとの比較で、図2に20周目以降のドライレースでのペースをノリスとの比較で示す。

図1 ガスリーと角田のレースペース(ウェット)
図2 ノリスと角田のレースペース(ドライ)

 ウェットでは9周目付近から両者クリアエアだが、ここでの角田はガスリーを大きく上回るペースを見せた。その後ややタイムの落ちが激しいが、トータルで平均するとガスリーを0.2秒ほど上回っている。

 ドライではガスリーがアルボンのダーティエア内にいたため、チームメイト比較はできないが、ノリスを上回るペースを見せている。ノリスは単独走行だったため、厳密にこれが2人の力関係と考えて良いかは疑問符が残るが、先に行ったレースペース分析でも、ルクレールと0.7秒差、ペレスと0.8秒差のペースとなっており、明らかに中団上位の競争力があった。

 また、ベッテルやマグヌッセンを仕留める際も非常に上手かった。図3に角田、ベッテル、マグヌッセン、ガスリーのレースペースを示す。

図3 角田、ベッテル、マグヌッセン、ガスリーのレースペース(ドライ)

 角田がベッテルやマグヌッセンに対して持っていたペース上のアドバンテージは、オーバーテイクしたレース終盤の時点で0.7秒ほどだ。このペース差で時間をかけずに仕留めたのはかなり印象的だ。

 それはガスリーを見れば分かる。ガスリーは基本的にずっとアルボンの真後ろにおり、このペースもアルボンのペースだ。しかし角田よりもかなり遅いペースにも関わらず、ガスリーはアルボンを抜けず終いとなってしまった。ちなみに33周目に一瞬ガスリーとアルボンの間隔が開き、34周目のみ自分のペースに近いペースを発揮できている。ここからペース自体は悪く無かったことが推測できる。

 予選でのスピードトラップを見る限り、ウィリアムズのストレートは速い方ではあるが、アストンマーティンも同等の速さであり、角田がベッテルを抜けた一方で、ガスリーがアルボンを抜けずにいたのは、かなり奇妙な光景に写ってしまった。

 予選でも角田はガスリーを同条件で上回っており、今回はこれまでとは一転して角田の週末だった。

2. 中団最速はボッタス!

 先に行ったレースペース分析では、ボッタスが中団最速となった。以下にドライコンディションでのレースペースを示す。

表1 ドライコンディションでのレースペース

 ボッタスはピットストップで11.8秒もかかってしまい、脱落したかに思えたが、ウィングのアジャストに失敗していたラッセルを猛追。レース終盤には真後ろまで来た。図4にペレス、ノリス、ラッセルとボッタスのレースペースを示す。

図4 ペレス、ノリス、ラッセルとボッタスのレースペース

 ボッタスのペースはノリスやラッセルを大きく上回っており、スティント後半で言えばペレスに近い。ラッセルはピットストップ時にフロントウィングのアジャストに失敗しており、0.2秒ほどペースが悪くなったとのことだが、それを差し引いても今回ボッタスが中団最速だったのは間違いない。

 今季は開幕戦からアルファロメオが印象的な走りを見せており、今後のレースでは表彰台も期待できるかもしれない。

3. 次戦は初開催マイアミGP

 次戦は初開催のサーキット、マイアミGPだ。高速S字と長いストレート、そしてモナコのような低速区間があり、セットアップの妥協点がチャレンジングなサーキットに見える。全く新しいサーキットであるため、各チームが金曜日からどんな走りを見せ、どんな問題を抱え、そして解決するのか、非常に見どころが多い3日間になりそうだ。

マイアミGP

FP1 5/6 27:30~

FP2 5/6 30:30~

FP3 5/7 26:00~

予選 5/7 29:00~

決勝 5/8 28:30~

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Writer: Takumi