• 2024/4/20 17:14

2021年シーズンレビュー(2) データで紐解くフェラーリvsマクラーレンvsアルピーヌvsアルファタウリ

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 さて、前回はフェルスタッペンとハミルトンのタイトル争いを振り返ったが、今回は中団争いに目を向けてみよう。ここでは中団トップを争った4チームに焦点を当て、次回の記事でアストンマーティン以降のチームに着目する。

目次

  1. レースペースのチームメイト比較
  2. フェラーリvsマクラーレン
  3. フェラーリvsアルファタウリ
  4. アルファタウリvsアルピーヌ
  5. レッドブルvsフェラーリ

1. レースペースのチームメイト比較

 まず各チーム内での力関係を見てみよう。

Table1 ルクレールとサインツのレースペース(✅が勝者)

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 2人は年間を通じて僅差のペースを示している。ルクレールのスピードには疑いの余地がないが、サインツも移籍初年度にも関わらず健闘した。特にシーズン終盤には、差は小さいながらもサインツが優勢に進めており、トロロッソ時代にフェルスタッペンと互角にやり合った実力は伊達ではないことが読み取れる。
 ただし、ルクレールも「勝つ時は大差、負ける時は僅差」という内容となっており、年間を通じて大外しをせず、競争力のあるマシンに乗ればタイトルを争う資質があることを十分に示した。

Table2 ノリスとリカルドのレースペース(✅が勝者)

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 シーズン前半はノリスの独壇場だが、リカルドも後半戦に来て、ノリスと互角のレースが3つと、確実に適応を示してきたことが分かる。

Table3 アロンソとオコンのレースペース(✅が勝者)

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 2年のブランクから復帰してきたアロンソは、序盤戦ではオコンに遅れを取った。しかし感覚を掴んだ中盤戦以降は、シュタイヤーマルクGP以降で平均0.4秒差をつけている。これはフェルスタッペンやハミルトンがチームメイトにつけた差と同程度だ。オコンの実力はフォースインディア時代にペレスと互角にやり合っており、それを鑑みると後半戦のアロンソは、フェルスタッペンやハミルトンと互角のレベルだったと見て問題ないだろう。

Table4 ガスリーと角田のレースペース(✅が勝者)

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 シーズンを通じてガスリーが圧倒したが、角田はイギリス、ハンガリーでガスリーに接近するペースを見せ、アブダビではガスリーを上回るパフォーマンスを発揮した。イギリス、ハンガリーの好調以降、0.5秒以上の差をつけられる展開が多く懸念されていたが、アブダビでの競争力はフェルスタッペンからも1.0秒差で、決してガスリーの不調による相対的なものではなかった。

2. フェラーリvsマクラーレン

 次にフェラーリとマクラーレンのレースペースに目を向けてみよう。

Table5 フェラーリとマクラーレンのレースペース(✅が勝者)

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 フェラーリはロシアGPで新型PUを投入して以降、明らかにパフォーマンスが改善されている。それまでは5勝5敗で平均でも互角だったが、ロシア以降では5勝1敗1引き分け、平均では0.1秒リードした。
 また、全体的にマクラーレンは、ティルケサーキットを中心とした近代的なサーキットで優位に立った。一方フェラーリはバルセロナ、モナコ、レッドブルリンク、ザンドフールトなどのオールドサーキットで競争力を発揮した。

3. フェラーリvsアルファタウリ

 次にフェラーリとアルファタウリのレースペースを比較してみよう。USGPのアルファタウリは角田のデータのみとなっており、マシンの性能を引き出し切れていないと思われるため、平均値はそれを除いた値を示した。

Table6 フェラーリとアルファタウリのレースペース(✅が勝者)

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 アルファタウリはバーレーン、アゼルバイジャン、フランス、メキシコなど、「ハマれば速い」傾向を示した。
 また前半戦と後半戦でも大きく様相が変わっている。オーストリアまでは3勝3敗で平均も互角だったが、シルバーストーン以降では1勝8敗で平均で0.5秒も差をつけられている。開発リソースを2022年にシフトしたのか、セットアップの問題かは定かではないが、アルファタウリは後半戦でパフォーマンスを大きく落としたチームとなってしまった。

4. アルファタウリvsアルピーヌ

Table7 アルピーヌとアルファタウリのレースペース(✅が勝者)

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 コンストラクターズランキング5位を争った2チームだが、レースペースでも年間を通せば接戦となった。ただし、こちらでも前半戦のアルファタウリ、後半戦のアルピーヌという傾向が目立つ。オーストリアまではアルファタウリの4勝3敗で平均0.4秒優ったが、シルバーストーン以降では4勝6敗で平均0.2秒と一気に劣勢になった。
 アルピーヌ視点で見れば、終盤戦で躍進したフェラーリ以上に、後半戦でアルファタウリに対してゲインしているのは、勇気づけられる内容だろう。序盤戦でアロンソのブランクの影響があったとはいえ、今年1年で最も大きな進歩を遂げたチームの一つなのは間違いないく、この傾向が来季にどう繋がるのか、興味深く見守りたい所だ。

5. レッドブルvsフェラーリ

 最後に、中団争いトップのフェラーリとレッドブルの差がどれほどだったのかを見てみよう。なお、イギリスGPはペレスのみのデータとなっており、マシンの性能を引き出し切れていないと思われるため、平均値はそれを除いた値を示した。

Table8 レッドブルとフェラーリのレースペース(✅が勝者)

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 レースペースで1週0.9秒の差は、28周で25秒の差がつくことを意味している。このことからも、レッドブルとメルセデスにとっては、フェラーリ以下の集団がピットストップウィンドウ外にいたことで、2ストップ作戦を実行しやすい展開になっていたことが分かる。

 次回はアストンマーティン以降の中団勢の戦いを振り返っていく。