• 2025/5/30 20:18

2025年マイアミGP レースペース分析

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1. 分析結果

 タイヤ・燃料・ダーティエアや全力で走る必要性などの諸条件を考慮に入れると、レース全体でのペースの力関係について、定量的にわかる範囲で、以下のことが言えた。

表1 ミディアムタイヤ(第1スティント)でのレースペース

 

表2 ミディアムタイヤ(第2スティント)でのレースペース

 

表3 ハードタイヤでのレースペース

 

 さらにこれらを総合すると、レース全体でのペースの力関係も以下のように理解することができるだろう。

表4 全体のレースペース

 

図1 全体のレースペース(visualized)

 

注意点

 マクラーレン勢は第2スティントで本来の力を出す必要がなかったが、アントネッリや角田を基準とすると、ノリスが0.2秒ほど、ピアストリが0.4秒ほどのマージンを持っていたと解釈することができる。表3にはその補正した値を記した。

 また、表1,3を表4に統合するにあたっては、スティントの長さに応じて加重平均をとった。さらに、表2の統合では、レース後半のハードタイヤのノリスとミディアムタイヤのラッセルを比較し、ラッセルと同じ戦略だったアロンソと比較、さらにレース前半のハードタイヤのアロンソとミディアムタイヤのアントネッリを比較して連立方程式を解いたため、精度に疑問符がつく。ただし、レース文脈から考えて妥当な数値であるように見えるため、採用とした。

分析結果を振り返って

 マクラーレン勢が圧倒的なペースを示した。ただし、アルボンやハジャーなどの競争力を見るに、マクラーレン、ウィリアムズ、レーシングブルズ以外のチームが外したという解釈も可能かもしれない。

2. 分析方法について

 フューエルエフェクトは0.07[s/lap]とし、グラフの傾きからデグラデーション値を算出。タイヤの履歴からイコールコンディションでのレースペースを導出した。スティントの長さも考慮し、同じスティントの長さを走った場合のペースを算出している。計算方法は以下の通りである。

・両ドライバーのデグラデーションが一定の場合

・デグラデーションが途中で変化する場合

 また、クリア・ダーティエアやスティントの長さ、プッシュするインセンティブなどのレース文脈も考慮している。定量的に導出できないドライバーについては結論を出さず、信頼できる数字のみを公開する方針としている。

 また、スティント前半でダーティエアでも、途中からクリアエアになっており、かつ前半のダーティエア内でもタイヤを労われていて極端なペースダウンでもない場合、スティント全体をクリアエアのように扱ってよいと考え、当サイトではその状態をオープンエンドクリアエア(OEC)と定義している。

 また、分析対象はドライコンディションのみに限定している。

各ドライバーの使用タイヤはピレリ公式より

 今回は予選で使用したソフトと新品ソフトの差、スクラブ済みと新品のミディアム・ハードの差は無視することとした。

3. 分析内容

 以上の分析手法に基づき、以下の知見を得た。タイヤコンパウンドはアルファベット表記、ドライバーは3文字表記にて略式で記述する。

  • Mにて、PIAとNORは互角だった
  • Mにて、PIAはVERより0.9秒速かった
  • Mにて、PIAはANTより1.1秒速かった
  • Mにて、PIAはTSUより1.3秒速かった
  • Mにて、PIAはHADより1.5秒速かった
  • Mにて、ANTはBORより0.7秒速かった
  • Mにて、ANTはSTRより0.8秒速かった
  • Mにて、ANTはHのALOより0.4秒速かった
  • Hにて、NORの素のペース(以降同じ)はPIAより0.2秒速かった
  • Hにて、NORはVERより0.3秒速かった
  • Hにて、NORはHAMより0.8秒速かった
  • Hにて、NORはALBより0.8秒速かった
  • Hにて、NORはTSUより1.1秒速かった
  • Hにて、HADはTSUより0.3秒速かった
  • Hにて、NORはSTRより1.4秒速かった
  • Mにて、RUSはGASより0.7秒速かった
  • Mにて、RUSはHULより0.9秒速かった
  • Mにて、RUSはALOより1.2秒速かった
  • Hにて、NORはMのRUSより0.8秒速かった

 これらを総合し、表1~3、そして表4の結論を得た。

4. インタラクティブグラフ

 さて、これらの分析の背景情報を把握するには、各車のペースグラフとギャップグラフを見るのが有効だ。自身で、ラップタイム比較を可視化して確認したり、より深い洞察を行ったりしたい方には、こちらのグラフを使っていただければ幸いだ。

 各車のペースグラフとギャップグラフをインタラクティブな形にしており、ボタン操作で見たいドライバーだけを表示できる。ラップタイムグラフにおいて、ダーティエアのラップ(前方2秒以内に他車がいる)は各データ点を白抜き、クリアエアのラップは塗りつぶしてあるため、レース文脈も把握しやすい。右上のボタンでダウンロードやズームなども可能だ。

 ぜひ、ご活用いただきたい。

Race Lap Time Interactive Graph

Lap Times

Drivers: VERTSUNORPIALECHAMRUSANTALOSTRGASDOOOCOBEAHADLAWALBSAIHULBOR
−101234561:29.0001:30.0001:31.0001:32.0001:33.0001:34.0001:35.0001:36.0001:37.000
LapTime (m:s)

Gap to Leader

注意点:

ラップタイムグラフにおいて、ダーティエアのラップ(前方2秒以内に他車がいる)は各データ点を白抜き、クリアエアのラップは塗りつぶした。

Takumi