1. 分析結果と結論
表1,2,3にタイヤごとのレースペースを示す。
表1 ソフトタイヤ(第1スティント)でのレースペース
表2 ソフトタイヤ(レース終盤)でのレースペース
表3 ハードタイヤでのレースペース
☆注意点
表1:今回の第1スティントは集団が数珠繋ぎ状態で進んだ影響か、後方に行くほど他のスティントと比べても競争力を失う傾向が出たため、前方の2台のみ定量的比較が可能と判断した。
表3:サインツは最終スティントの出来が悪く、ルクレールも同様の傾向を示した前提で(すなわちチームメイト間の差はレースを通じて一定の前提で)第2・3スティントを平均し、ルクレールのペースを導いた。
最後に、これらを総合した全体のレースペースを表3に示す。
表4 全体のレースペースの勢力図
☆注意点
終盤にソフトを履いたドライバーたちの力関係については反映しなかった。
レースペースを振り返って
フェルスタッペンが圧倒的な力を見せつけた。また、定量的な分析はできなかったが、定性的にペレスがルクレールより速かったことは展開から明らかだ。
前述の通り、ルクレールの最終スティントがサインツ同様に悪化した前提で導出した値だが、ハードタイヤについて第2スティントのみで考えた場合は、ルクレールがアロンソを0.1秒ほど上回るペースだった。とはいえアロンソとアストンマーティンがレッドブルを除けばトップクラスの力を発揮したことは非常に印象深い。
また中団勢ではドタバタのレースとなってしまったオコンだが、ペース面では良かったことが見えてくる。そしてガスリーも最終スティントで他の中団勢を1秒以上千切っており、アルピーヌにもかなりのスピードがあることが垣間見える。
一方、Q3に進出したハースはレースペースではかなり苦戦した。
2. 分析方法について
フューエルエフェクトは0.06[s/lap]とし、グラフの傾きからデグラデーション値を算出。タイヤの履歴からイコールコンディションでのレースペースを導出した。また、クリア・ダーティエアやレースの文脈も考慮している。
各ドライバーのクリアエア・ダーティエアの状況把握は、全車の走行状態ページにまとめた。
また、今回は予選で使用したソフトと新品ソフトの差、スクラブ済みと新品のミディアム・ハードの差は無視することとした。
また、スティント前半でダーティエアでも、途中からクリアエアになっており、かつ前半のダーティエア内でもタイヤを労われていて極端なペースダウンでもない場合、スティント全体をクリアエアのように扱ってよいと考え、当サイトではその状態をオープンエンドクリアエア(OEC)と定義している。
3. 付録
参考までに、分析に使用したグラフを添付する。
Analyst: Takumi