• 2025/4/5 01:58

2025年 中国GPレビュー

 今回は、第2戦中国GPをデータを交えながら振り返ってみよう。また角田裕毅の移籍発表もあり、それらをまとめて扱い、”日本GPプレビュー” 程度のニュアンスでお届けできれば幸いだ。

1. フェルスタッペンのレースペースに見るRB21のピーキーさ

 今回非常に印象的だったのは、フェルスタッペンの第1スティントと第2スティントの競争力の差だ。図1にピアストリとフェルスタッペンのレースペースを示す。

図1 ピアストリとフェルスタッペンのレースペース

 予選ではピアストリから0.176秒差の4番手と、そこそこのポテンシャルを発揮したRB21。しかしレースが始まると、上位勢に離されダメージを負ったヒュルケンベルグ以外全員がついてきてしまうという苦しい展開となった。ここでのペースはピアストリより0.9秒も遅かった。

 しかし第2スティントでは復調。先に行ったレースペース分析では、タイヤの差を換算した場合、ピアストリの0.1秒落ちのペースで走れていた。

 そしてグラフは割愛するが、前述のレースペース分析で、ローソンの最終スティント(ハードタイヤ)でのペースはフェルスタッペンの1.1秒落ち(タイヤ差換算済み)であった。

 ローソンの度々のQ1落ちやレースペース不足のみならず、フェルスタッペンを持ってしても条件次第ではパフォーマンスを出しきれない。まだ2戦で、何らかの傾向を語るには十分なサンプル数とはいえないかもしれないが、RB21の気難しさが垣間見えるデータではないだろうか?

2. 角田のレッドブル移籍が決定

 さて、前項で論じた通り、レッドブルのマシンはポテンシャルがある一方で、気難しい一面もある。おそらくそれは過去何年にもわたってDNAとして引き継がれてきたもので、ガスリー、アルボン、ペレスらがその犠牲者となってきた。ガスリーやアルボンの現在の活躍はもちろんのこと、ペレスがフォースインディア時代に互角だったヒュルケンベルグの評価から考えても、あらゆるドライバーがレッドブルのマシンに乗ると力を発揮できなくなるという傾向は確かにある。

 実際、2019年のガスリーはフェルスタッペンから予選で0.7秒、レースペースでは0.6秒落ちだった。また、2020年のアルボンは予選で0.5秒、レースで0.7秒落ちだ。詳細はフェルスタッペンのドライバー紹介ページ下部をご覧いただきたい。

 しかし、昨年末に行ったドライバーの競争力分析では、レッドブルでの数値を異常値として含めなければ、ガスリーはフェルスタッペンから0.1~0.2秒落ちで走るポテンシャルを有していたはずだ。また、アルボンもレッドブル時代の状態が本来の力だとすれば、今頃サインツに大差をつけられているはずだ。

 そんな中、最も本来の力を発揮できたと考えられるのがペレスだ。前述の競争力分析ではペレスはフェルスタッペンの0.3秒落ちあたりの力と見るのが妥当な所だ。そして移籍初年度にその差を0.4秒差にとどめると、翌2022年には、予選で0.3秒、レースペースでは0.2秒差と善戦した。その後2年は苦戦したが、定量的な比較ができる範囲では0.4~0.5秒程度の差に抑えており、ガスリーやアルボンよりは力を発揮できたと言える。

 上述の競争力分析では、角田の力は、ペレスと互角かやや予選一発では優れていると考えられる。したがって、角田はガスリーやアルボンのルートではなく、ペレスのように力を発揮しきるルートが求められる。それを成し得た暁には、フェルスタッペンから0.2~0.3秒以内という差で走ることが可能になってくる。そしてさらなる高みを目指し、フェルスタッペンに挑んでいく未来も決して非現実的ではない。

 そして、レーシングブルズのマシンでは、最下位になる確率こそ低いが、同時に優勝の確率も極めて低い。しかしレッドブルでは、車を手懐けられなければ、ローソンのように最下位になる確率は上がるかもしれないが、優勝のチャンスも跳ね上がる。そしてそれこそが重要なことであり、そこに挑むのがアスリートだ。フェルスタッペンと角田というコンビネーションが、苦境のレッドブルチームを復活させるのか?興味の尽きない残り22戦になりそうだ。

3. ローソンにも希望あり

 たった2戦で降格となったローソン。しかし、将来を悲観視する必要は全くない。レッドブルのマシンがトリッキーであることは、パドックの全員にとっての共通認識であり、前述の通り、ガスリーやアルボンの活躍を見れば、レッドブルで力を発揮できなかったことがドライバーとしての普遍的な評価の低下に繋がることは、ほぼないだろう。

 幸い、ハジャーにある程度の競争力がありそうなことが分かったため、そのハジャーを上回り続ければローソンの評価はより確固たるものになる。古巣レーシングブルズに戻って、心機一転、地に足をつけて再スタートを切ってもらいたいところだ。

Takumi