• 2024/11/13 16:08

2024年 シンガポールGP レースペース分析

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1. 分析結果

 タイヤ・燃料・ダーティエアや全力で走る必要性などの諸条件を考慮に入れると、レース全体でのペースの力関係について以下のことが言えた。

表1 ミディアムタイヤでのレースペース 1

 

表2 ミディアムタイヤでのレースペース 2

 

表3 ハードタイヤでのレースペース

 

表4 ハードタイヤでのレースペース 2

  

表5 両タイヤでのレースペース

 

 さらにこれらを総合すると、レース全体でのペースの力関係も以下のように理解することができるだろう。

表6 全体のレースペース

 

図1 全体のレースペース(visualized)

 

注意点

 ノリスの言葉を信じ、ハードタイヤでも本来の実力に近いペースで走っていたと仮定した。

 また、フェルスタッペンは、表1,3のラッセルやヒュルケンベルグとの関係から、ハードタイヤで競争力が高かったと考え、両テーブルの統合の際にはラッセルを基準とした。

2. 分析方法について

 フューエルエフェクトは0.06[s/lap]とし、グラフの傾きからデグラデーション値を算出。ドライコンディションに限定。タイヤの履歴からイコールコンディションでのレースペースを導出した。また、クリア・ダーティエアやレースの文脈も考慮している。定量的に導出できないドライバーについては結論を出さず、信頼できる数字のみを公開する方針としている。

各ドライバーの使用タイヤはピレリ公式より

 今回は予選で使用したソフトと新品ソフトの差、スクラブ済みと新品のミディアム・ハードの差は無視することとした。

3. 分析内容のハイライト

 以下に分析内容の一部を掲載する。同じような計算になるものは割愛した。

3.1. 第1スティント

 第1スティントについては、各車自分のペースで走れている部分を、単純にそれぞれ比較していった。使用したグラフは以下の通り。

3.2. 第2スティント以降

 第2スティントについては、タイヤのデグラデーションを考慮して計算した。使用したグラフは以下の通り。

 例としてフェルスタッペンとラッセルの比較を考えてみよう。

 30~57周目の28周の区間において、(ダーティエアなどで落ちている周は除く)平均ラップタイムはフェルスタッペンが0.64秒速い。そしてラッセルのタイヤが2周古く、デグラデーションはラッセルが0.06[s/lap]、フェルスタッペンが0.03[s/lap]と読めるため、この区間におけるラッセルのタイヤの不利は0.06×2+(0.06-0.03)×28×1/2=0.54[s]となる。よって新品タイヤでの力関係は、フェルスタッペンがラッセルよりも0.64+0.54=0.10[s]速いことになる。ここから1周ごとに0.03[s/lap]のデグラデーションの差が効いてくる中で、チェッカーフラッグまでフェルスタッペンの33周とラッセルの35周の平均の34周を走り切ったとすると、フェルスタッペンのペースアドバンテージは0.10+0.03×34×1/2=0.61[s]となり、四捨五入して0.6秒と導出した。これは「フェルスタッペンはラッセルよりも0.1秒速く走っても、0.03秒ぶん小さいデグラデーションを実現し、34周のスティントを前提とした際にトータル0.6秒速く走ることができた。」とサマライズすることができる。

 他のドライバー達も同様に計算した。また、スティントの途中でデグラデーションが変わる際は、区間を分けて計算した。

4. 全チームのレースペースグラフ

Writer: Takumi