タイヤ・燃料・ダーティエアや全力で走る必要性などの諸条件を考慮に入れると、レース全体でのペースの力関係について、定量的にわかる範囲で分析を行った。
今回の分析は管理人Takumiのディレクションと監修の元、ChatGPTが細かいタスクを行う形で進めた。前回ハンガリーGPでのChatGPT独自の分析方法ではなく、近年のTakumiの分析方法を基調とした。
1. 方針と計算手順
- フューエルエフェクトは0.06[s/lap]とし、グラフの傾きからデグラデーション値を算出。タイヤの履歴からイコールコンディションでのレースペースを導出した。スティントの長さも考慮し、同じスティントの長さを走った場合のペースを算出している。
- また、クリア・ダーティエアやスティントの長さ、プッシュするインセンティブなどのレース文脈も考慮している。また、スティントの始めに飛ばした際に後のペースに与える悪影響、ゆっくり入った場合の好影響についても加味した。定量的に導出できないドライバーについては結論を出さず、信頼できる数字のみを公開する方針としている。
- また、スティント前半でダーティエアでも、途中からクリアエアになっており、かつ前半のダーティエア内でもタイヤを労われていて極端なペースダウンでもない場合、スティント全体をクリアエアのように扱ってよいと考え、当サイトではその状態をオープンエンドクリアエア(OEC)と定義している。
- また、分析対象はドライコンディションのみに限定している。(※各ドライバーの使用タイヤはピレリ公式より)
- 比較は2人ずつ。基本は同じスティントで同じタイヤを使用している者同士での素の平均ラップ差を取り、必要に応じてタイヤ年齢とデグラデーションの差を補正。
- 本稿で使ったデータ窓
- 第1スティント(ミディアム):
- PIA vs NOR:L9–22
- PIA vs HAD:L7–22
- PIA vs RUS:L5–22
- PIA vs LAW:L7–22(L19–20除外)
- 第2スティント(ハード・23周目IN組):
- PIA vs HAD:L33–52
- PIA vs LEC:L33–51(LECは22周目PITだが、直後にSC出動のため1周差を無視)
- PIA vs ANT:L33–50
- PIA vs ALB:L36–52
- 第1スティント(ミディアム):
- 計算ルール(要点)
- 素の平均差:ΔT=Lap‾Other−Lap‾Piastri\Delta T=\overline{Lap}_{\text{Other}}-\overline{Lap}_{\text{Piastri}}ΔT=LapOther−LapPiastri(+は相手が遅い)
- タイヤ差補正(必要時):
Ctyre=DBΔL+(DB−DA)N2C_{\text{tyre}}=D_B\Delta L+\frac{(D_B-D_A)N}{2}Ctyre=DBΔL+2(DB−DA)N,
Cstint=(DB−DA)Savg2C_{\text{stint}}=\frac{(D_B-D_A)S_{\text{avg}}}{2}Cstint=2(DB−DA)Savg,
最終差 =ΔT−Ctyre+Cstint=\Delta T-C_{\text{tyre}}+C_{\text{stint}}=ΔT−Ctyre+Cstint(小数1位に丸め)
- マネジメント前提
- 第2スティントでマクラーレンがペースを抑えたと仮定。
- その推定量は HAD とのギャップ縮小分(0.858→0.530=0.328 s/周)。
- Piastriを基準に取った第2スティントの各比較へ**+0.328 s/周**を一律で戻し、実力差に整合させた。
2. 計算結果
- 第1スティント(M):
- NOR − PIA = −0.1(未丸め −0.076)
- HAD − PIA = +0.9(未丸め +0.858)
- RUS − PIA = +0.9(未丸め +0.938)
- LAW − PIA = +1.2(未丸め +1.240)
- 第2スティント(H、抑え分0.328反映後):
- HAD − PIA = +0.9
- LEC − PIA = +0.9(未丸め 0.924)
- ANT − PIA = +0.9(未丸め 0.914)
- ALB − PIA = +1.6(未丸め 1.570)
- 第1スティント(S):
- VER − TSU = +0.9(未丸め +0.862)
総合レースペース(最速からの差)
最速をNORとし、各ドライバーの差を小数1位で表示。
(四捨五入後のみ)
| 順位 | ドライバー | 最速からの差 (s/周) |
|---|---|---|
| 1 | Lando NORRIS | 0.0 |
| 2 | Oscar PIASTRI | 0.1 |
| 3 | Isack HADJAR | 0.9 |
| 4 | Kimi ANTONELLI | 1.0 |
| 5 | Charles LECLERC | 1.0 |
| 6 | George RUSSELL | 1.0 |
| 7 | Liam LAWSON | 1.3 |
| 8 | Alexander ALBON | 1.6 |
グラフ(最速からの差)

所感/考察
- マクラーレンが全体最速。 ミディアムでのNOR優位が明確。PIAは僅差で続き、第2スティントではマネジメント(燃料・ロングスティントを見据えたタイヤ保全・SC/VSC後の温度管理)を行った痕跡がHADとのギャップ推移から見て取れる。
- ルクレール、メルセデス、ハジャーは横一線。 レース運びやトラックポジションの影響で順位は動くが、純ペースは拮抗。
- LAW/ALB はやや後方。
- SC/VSCの扱い:SC/VSCを挟んだタイヤのデグラデーション計算は手元のデータからは困難。今回は多くのドライバーが定量的評価の対象外となった。
6. インタラクティブグラフ
さて、これらの分析の背景情報を把握するには、各車のペースグラフとギャップグラフを見るのが有効だ。自身で、ラップタイム比較を可視化して確認したり、より深い洞察を行ったりしたい方には、こちらのグラフを使っていただければ幸いだ。
各車のペースグラフとギャップグラフをインタラクティブな形にしており、ボタン操作で見たいドライバーだけを表示できる。ラップタイムグラフにおいて、ダーティエアのラップ(前方2秒以内に他車がいる)は各データ点を白抜き、クリアエアのラップは塗りつぶしてあるため、レース文脈も把握しやすい。右上のボタンでダウンロードやズームなども可能だ。
ぜひ、ご活用いただきたい。
Lap Times
Drivers:
Gap to Leader
注意点:
ラップタイムグラフにおいて、ダーティエアのラップ(前方2秒以内に他車がいる)は各データ点を白抜き、クリアエアのラップは塗りつぶした。
Takumi, ChatGPT (GPT-5)