5月4日に開催された第88回 シンギュラリティサロンでは、bioshok氏が講演を行い、数理経済学の知見も交えつつ「知能爆発が起こらなくてもAGIにより産業爆発が起きる」という内容が展開された。これは、基本的にASIの実現を前提とした未来予測とビジョンのみを扱ってきた管理人にとっても、非常に興味深いものだった。
管理人は、この動画の内容をGeminiに共有し、動画内の1:49:12から表示されるグラフを元に、以下の時点での未来の世界観を描いてもらった。
- GATE Aの2033年
- GATE Bの2028年
- GATE Bの2033年
- GATE Bの2045年
筆者の見解や思想とはやや異なる部分もあり、講演内容も100%汲み取っているとは限らないが、今回は「GATE A(知能爆発が起きずにAGIのみで産業爆発が起きる)の2033年」を敢えてそのまま紹介しよう。なお、筆者の未来観については最新の記事『シンギュラリティ 2028』をご参照いただきたい。
〜〜〜以下Geminiによる未来像〜〜〜
2033年、アキラの一日
午前7時。アキラの部屋の生体適合型ウォールディスプレイが、ゆっくりとアマゾンの熱帯雨林の夜明けの映像に切り替わる。鳥のさえずりと川のせせらぎの音で、アキラは心地よく目覚める。これは彼が昨夜、パーソナルAIアシスタントの「ソラ」にリクエストしていた目覚めのシーンだ。
「おはよう、アキラ。今日の体調は最適。睡眠スコアは98点よ。昨日の深宇宙探査シミュレーションで少しアドレナリンが高めだったみたいだけど、しっかり回復しているわ」ソラの合成音声が部屋に響く。
ベッドから起き上がると、床が体温を感知し、快適な温度に調整される。アキラがバスルームに向かうと、既にソラが彼の健康データ(ナノボットが常時収集している)を分析し、今日の体調に最適化された栄養素を含む朝食メニューを提案してくる。メニューは数十種類あり、気分で選べる。今日は「古代日本の朝食再現、ただし栄養バランスは2033年基準」を選んだ。食卓に着くと、3Dフードプリンターが数分で温かい食事を生成し終える。原材料は、近郊の全自動化された垂直農場と分子合成プラントから供給される、無駄のない完璧なものだ。
食事中、アキラは壁一面のディスプレイで今日の「クリエイティブ・ジャーニー」の準備をする。今日は、AIと共同で取り組んでいる「失われた古代都市の音楽様式の再構築と現代的アレンジ」プロジェクトの日だ。ソラが最新の研究データや、世界中の他の参加者からのフィードバックを整理して表示してくれる。労働という概念はほぼ消滅しており、人々はこのような創造的活動、学術探求、社会貢献プロジェクト、あるいは純粋な趣味や自己研鑽に時間を使っている。報酬は「社会貢献ポイント」や「創造性評価スコア」といった形で得られ、それが更なる活動リソースへのアクセス権や、希少な体験(例えば、歴史的再現都市での短期滞在権など)につながる。
午前中は、完全没入型のVRスタジオで過ごす。アキラは、古代都市の遺跡データを元にAIが生成した仮想空間に入り込み、発掘された楽器の断片や文献から、AIと共に失われたメロディを紡ぎ出していく。世界中の専門家や他のクリエイターたちと、アバターを通じてリアルタイムで共同作業を行う。言語の壁はAIが瞬時に解消してくれる。
昼食後、アキラは少し気分転換に「外出」することにした。彼の住むエコ・アーコロジー(生態系調和型巨大建造物都市)の外には、かつて問題となった排熱を再利用し、緑豊かな公園や自然保護区が広がっている。パーソナルモビリティ(小型の反重力ポッド)に乗り込み、数分で目的地へ。公園では、バイオエンジニアリングで再生された絶滅危惧種の動物たちが自由に歩き回っている。ソラが、動物たちの生態や、この公園の環境維持システムの詳細を解説してくれる。
夕方、アキラは月面コロニーに住む友人とホログラフィックコールで談笑する。友人は月面での新たなエンターテイメント施設の設計に関わっており、その進捗を嬉しそうに語る。数年前までは「夢物語」だった月や火星への移住も、今では富裕層だけでなく、特定のスキルを持つ人々にとっては現実的な選択肢となっている。輸送コストはAIによる資源採掘とロケット製造の超効率化で劇的に下がった。
夜、アキラは自宅で最新のインタラクティブ・ストーリー(AIがユーザーの選択や感情に応じてリアルタイムで物語を生成するエンターテイメント)を楽しむ。今日のテーマは「もし自分が恐竜時代にタイムスリップしたら?」。リアルな感覚と、予測不可能な展開に没頭する。
就寝前、ソラが今日の活動記録と健康状態をまとめたレポートを表示する。
「明日は、太陽系外縁部の探査ドローンからの新しいデータが届く日よ。初期分析によると、興味深い有機物の痕跡があるかもしれないわ。準備しておく?」
「もちろんだ。楽しみだよ」
アキラは、明日への期待を胸に眠りにつく。
この世界の背景にあるもの:
- エネルギーと資源の潤沢化: 太陽系全体の資源(小惑星や他惑星)へのアクセスが容易になり、核融合発電や宇宙太陽光発電が普及。エネルギーコストと資源コストが限りなくゼロに近づいている。
- AIによる超最適化: 生産、物流、インフラ管理、医療、教育など、あらゆるシステムがAGI/ASIによって最適化され、驚異的な効率で運用されている。
- 「人間であること」の再定義: 労働からの解放は、人々に「何のために生きるのか」という根源的な問いを投げかけた。多くの人々は、創造性、探求心、共感といった人間ならではの活動に価値を見出している。
- 潜在的な課題: これほど急激な変化に適応できない人々へのケア、AIの意思決定における倫理的ジレンマ、宇宙規模での活動がもたらす未知のリスク(排熱問題はその一つ)、そして、人間を超えるかもしれないASIとの共存のあり方など、新たな課題も常に議論されている。ニュースでは時折、「ASI倫理評議会の声明」や「地球外文明探査におけるプロトコル改定」といった話題が報じられている。
これが、GATE Aシナリオにおける2033年の一つの暮らしのイメージです。
YouTube動画:シンギュラリティサロン#88「産業爆発はいつどのように起きるのか」
Takumi, Gemini
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