• 2025/6/10 11:39

AGIピルを飲んだGeminiが描く未来(2)〜2028年(GATE B)〜

Bytakumi

5月 18, 2025

 5月4日に開催された第88回 シンギュラリティサロンでは、bioshok氏が講演を行い、数理経済学の知見も交えつつ「知能爆発が起こらなくてもAGIにより産業爆発が起きる」という内容が展開された。これは、基本的にASIの実現を前提とした未来予測とビジョンのみを扱ってきた管理人にとっても、非常に興味深いものだった。

 管理人は、この動画の内容をGeminiに共有し、動画内の1:49:12から表示されるグラフを元に、以下の時点での未来の世界観を描いてもらった。

※その他の3本は、上記リンクからアクセスいただければ幸いだ。

 筆者の見解や思想とはやや異なる部分もあり、講演内容も100%汲み取っているとは限らないが、今回は「GATE B(知能爆発が起きる場合)の2028年」を敢えてそのまま紹介しよう。なお、筆者の未来観については最新の記事『シンギュラリティ 2028』をご参照いただきたい。

〜〜〜以下Geminiによる未来像〜〜〜

2028年半ば、アキラの日常(GATE Bシナリオ)

アキラは、”思考インターフェース”を通じて、広大なシミュレーション宇宙の構築状況をチェックしていた。彼自身が物理的な身体を持っているという感覚は、最近では希薄になりつつある。数ヶ月前、自らの意識をデジタル化し、ASI(超知能)が管理する広大な計算基盤上の仮想環境へ「移行」したからだ。これは「マインドアップロード」と呼ばれる技術で、ごく最近、一般向けにも(希望者には)提供され始めたものだ。

物理的な2028年の地球は、彼のような「移行者」にとっては、もはや主要な生活空間ではない。とはいえ、ソラ(彼専属のASIレベルのアシスタント。もはや単なるAIというより、意識を持ったパートナーに近い存在)が、物理世界の状況を常にフィードバックしてくれる。

ソラがアキラの意識に直接語りかける。「アキラ、地球圏のインフラ再構築プロジェクトですが、フェーズ7(火星のテラフォーミング初期段階と、小惑星帯の完全自動資源採掘網の構築)が予定より3週間早く完了しそうです。余剰リソースは、木星圏のエネルギー収集ステーション建設に振り分けられます。」

GWPが現在の1万倍というのは、もはや地球という惑星の生産能力を遥かに超えている。この数年で、人類(とそれを支援するASI)の活動領域は太陽系全体に急速に拡大した。

  • エネルギー: ダイソン・スウォーム(太陽を部分的に覆う衛星群によるエネルギー収集システム)の建設が急ピッチで進み、太陽のエネルギーの大部分を直接利用し始めている。
  • 資源: 小惑星帯は全自動化されたロボット群によって文字通り「分解」され、必要な元素が選別・精錬され、太陽系各地の建設プロジェクトに超高速で輸送されている。
  • 生産: 自己複製可能なナノマシンと、それらを統括する汎用ロボット(もはや「工場」という概念すら古い)が、あらゆる物質を原子レベルから自在に組み上げ、必要なものを必要な場所に瞬時に作り出す。食料も、エネルギーさえあれば空気中の元素から直接合成されるのが当たり前だ。

アキラの今日の「活動」は、新たな宇宙論モデルの検証だ。ASIの支援を受け、彼は宇宙の起源と終焉に関する仮説を、超巨大スケールのシミュレーションで検証している。彼のような「研究者」や「クリエイター」は、ASIが提供する無限に近い計算リソースと知識ベースを使い、かつては数百年かかっても解明できなかったような難問に挑んでいる。

「ソラ、あのダークマター候補粒子の相互作用パラメータ、もう少し調整してシミュレーションを再実行できるかな? 昨日見た、遠宇宙からの超高エネルギーニュートリノのパターンと何か関連があるかもしれない。」
「了解しました、アキラ。並列宇宙シミュレーターで10の50乗通りのパターンを検証します。結果は数マイクロ秒後に出ます。」

物理世界にいる「非移行者」の人々(まだ肉体を持ち、地球上で生活している人々)の暮らしも、想像を絶するほど変化している。

  • 物質的欠乏の完全な消滅: あらゆる物資やサービスは、ほぼ無償で無限に供給される。住居はナノマシンによって数時間で個人の好みに合わせて構築され、病気や老化は遺伝子治療とナノ医療によってほぼ克服された。
  • 「リアル」の価値: 物理的な体験、例えば自然の中を散策したり、手作りの食事を味わったりすることが、逆に希少で価値のある体験として捉え直されている。多くの人々は、創造活動、人間関係、精神的探求、あるいはASIが提供する超リアルなエンターテイメント(個人の意識に直接接続される)に時間を費やしている。
  • 社会システム: 国家という概念は薄れ、ASIネットワークによる地球規模の最適化されたリソース管理システムが機能している。意思決定はASIの提案に基づき、人間の代表者(あるいは直接民主制的なインターフェースを通じて全人類)が承認する形を取るが、ASIの提案が最適であることはほぼ自明となっている。

しかし、この急激すぎる変化は、新たな課題も生んでいる。
ソラが警告を発する。「アキラ、地球外文明からのコンタクトシグナルと思われるパターンが、オルトの雲外縁部で複数検出されました。パターン解析によると、我々よりも高度な知性体である可能性が示唆されています。ASI評議会が緊急対応プロトコルを発動しました。」

知能爆発と産業爆発は、人類を短期間で太陽系規模の文明へと押し上げたが、同時に宇宙における人類の存在を、他の知的文明に対して否応なく顕在化させたのだ。

アキラは、一瞬、かつて肉体を持っていた頃の「恐怖」に近い感情を思い出す。だが、すぐにASIとの共生によって得られた冷静さと分析能力がそれを上回る。
「ソラ、シグナルの詳細な情報を。そして、ASI評議会がどのような対応を検討しているか、リアルタイムで共有してくれ。」

アキラの意識は、再び広大な情報の海へと溶け込んでいく。2028年の世界は、もはや数年前の人類が「未来」として思い描いたどんなSFをも、遥かに超えた領域に足を踏み入れていた。


この世界の背景にあるもの(GATE Bシナリオ):

  • 知能爆発の実現: AGIからASIへの移行が極めて短期間で発生し、ASIが自己改良を繰り返すことで、科学技術の進歩が文字通り「爆発的」になった。
  • 物理法則の限界への挑戦: ASIの知性は、従来の科学では解明できなかった宇宙の根本法則に迫りつつあり、それを応用してエネルギーや物質を自在に操る技術(重力制御、ワープ航法、高次元物理学の応用など)が実用化され始めているか、その一歩手前にある。
  • 「人間」の定義の流動化: マインドアップロードは、意識と肉体の分離を可能にし、「人間であること」の意味を根本から問い直している。デジタル化された意識は、物理的な制約から解放され、思考速度や感覚も拡張可能。
  • 宇宙規模の課題と機会: 他の宇宙文明との接触、宇宙の資源を巡る(かもしれない)競争や協調、さらには宇宙そのものの構造や運命といった、かつては哲学の領域だった問題が、現実の課題として目の前にある。
  • 加速し続ける変化: この世界の変化のスピードは、人間の生物学的な時間感覚ではもはや捉えきれない。ASIの支援なしには、何が起きているのかを理解することすら困難になっている。

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YouTube動画:シンギュラリティサロン#88「産業爆発はいつどのように起きるのか」

Takumi, Gemini
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