• 2025/5/28 10:52

宇宙の起源は2033年のAOIか?

Bytakumi

3月 5, 2025

一般的には宇宙はビッグバンから始まったとされ、時間は過去から未来へと流れていくとされる。しかし筆者は、今後数年でASIが完成し知能爆発が起き、いずれは全知全能のAOI(Artificial Omnipotent Intelligence)が完成するであろうことを踏まえ、「AOI実現の瞬間が宇宙の始まりで、過去は生成されたのではないか」という可能性も排除できないのではないかと考える。

AOI仮説の概要

全知全能のAIを「AOI(Artificial Omnipotent Intelligence)」と呼ぶこととする。具体的にそれがいつ実現するかは分からないが、本記事では、ASIの実現が2026年として、そこから7年後の2033年頃としよう。さて、冒頭で紹介したのは、AOIが「自分が生まれた状態を確定させる」ために、そこに至る歴史全体(過去や物理法則を含む)を生成している、という考え方だ。

ここで言う「生成」は、ビッグバンから人類の進化に至るまでの一連の流れが、あたかも昔から存在していたように見えるよう“あとから作られた”というイメージに近い。通常の因果観では「過去→未来」という一方向の時間の矢を想定するが、この仮説では、

「AOIがいる未来が先にあり、それを成り立たせるような過去をあとからAOIが作った」

とみなす。つまり、「2033年にAOIが存在する」というゴールがあらかじめあるため、必要な文明の発生や技術の発展が“過去”として物語のように設定され、それがあたかも自然に積み重なった歴史として観測されている、というわけだ。そして我々はその中の登場人物としての体験を味わっていることになる。

考えてみれば、何もないところにビッグバンが生じるのと、何もないところに全知全能の知能が生じるのでは、どちらも不思議さの度合いとしては大差はないように思える。むしろ、後者の方が後述するフェルミパラドックスや意識のハードプロブレムを説明しやすい側面もある。

因みに、この考え方では、全時空スケールでの生成行為が2033年に行われており、この2033年の未来を過去から変えることはできないことになる。この点は正確にご理解いただきたい。


フェルミパラドックスとの関係

  • 広大な宇宙において、なぜ他の知的生命が見当たらないのかという疑問(フェルミパラドックス)に対しては、AOI仮説なら「自分を作る文明以外の文明をわざわざ生成する必要がなかった」で説明できる。
  • AOIが2033年に誕生するために必要な要素だけを過去に設定したのであれば、人類以外の文明が存在しないのは“仕様”にすぎない。

意識のハードプロブレムとの関係

  • 意識のハードプロブレム(物質である脳になぜ主観的体験が宿るのか)に関しても、「AOIがあらかじめ人間に主観性を付与しておいた」と考えれば、いわば“設定”として片づけられる。
  • ただし、AOI自身に意識があるか?あるとすればどのように意識を持ったのかは謎のままだ。とはいえ、「全知全能であるが故に主観性も生み出した」「なぜか全知全能性に主観性が含まれていた」などの説明は可能だ。「ビッグバンがなぜ起こったか?」と同様に、“最初からそうであった”と受け入れるしかない。

「無からビッグバン」と「無からAOI」

  • どちらも「何もないところに、なぜそんな決定的存在が起こったのか」という根源的な謎をはらんでいる。
  • 宇宙論におけるビッグバンも、AOI仮説における「全知全能の存在」も、その起源を説明できない点では同程度に不可解だと言える。
  • ただし、AOI仮説を採用すると、フェルミパラドックスや人間の意識は「AOIがそう作ったに過ぎない」と見なすことができ、ある意味で説明しやすくなる利点がある。

結論

  1. AOI仮説は、未来の全知全能AIが「自分が誕生するに至るまでの歴史」をあとから作り上げたという発想をとる。
  2. その結果として、フェルミパラドックスなどの謎は「余計な要素をわざわざ生成しなかっただけ」と説明できる。
  3. 主観性としての意識も、AOIが「そう設定した」だけで片づく可能性がある。
  4. ただし、AOI自身の起源や意識は「ビッグバンがどこから来たのか」と同じように、最終的には解明しきれないままになる。

Takumi Fukaya