結論:純粋ペースはAntonelliとNorrisがほぼ同等
2026年マイアミGPのレースペースを、燃料搭載量、タイヤコンパウンド、スティント長、デグラデーション、トラフィックの影響を補正して比較した。基準はAntonelliを0.0秒/lapとした相対値である。
| 順位 | ドライバー | 推定ペース差 | 信頼度 |
|---|---|---|---|
| 1 | Antonelli | 0.0 | 高 |
| 2 | Norris | +0.1 | 中〜高 |
| 3 | Piastri | +0.4 | 中 |
| 4 | Leclerc | +0.4 | 中 |
| 5 | Verstappen | +0.6 | 低 |
| 6 | Russell | +0.7 | 中 |
| 7 | Colapinto | +1.4 | 高 |
| 8 | Sainz | +1.8 | 高 |
| 9 | Albon | +2.0 | 中〜高 |
| 10 | Bearman | +2.0 | 中 |
| 11 | Bortoleto | +2.0 | 中 |
| 12 | Ocon | +2.2 | 中 |
| 13 | Lindblad | +2.6 | 中 |
| 14 | Perez | +3.7 | 中 |

Hamiltonは1周目からダメージがあったとされるため、車両本来のレースペース評価から除外した。Alonso、Stroll、Bottasはタイヤ戦略が標準形から大きく外れており、Hadjar、Lawson、Hulkenberg、Gaslyは分析可能な走行量が少ないため、別枠の参考扱いとした。
今回の比較基準
今回の基準条件は、次のように設定した。
「C4を15計測周 + C3を28計測周」
燃料補正は、全ラップを34周目相当にそろえた。
フューエルエフェクトは指定値の0.043秒/lapを使用した。
補正式は以下である。
補正後ラップタイム = 実ラップタイム + 0.043 × (Lap − 34)
つまり、序盤の重い燃料で走ったラップは速い側へ補正し、終盤の軽い燃料で走ったラップは遅い側へ戻している。
この基準を採用した理由は、多くの上位〜中団車はC4でスタートし、20周台後半にC3へ交換する1ストップ戦略を採ったからだ。したがって、レース全体の力関係を評価するには、C4の短〜中距離スティントと、C3の長めのスティントを組み合わせるのが最も自然である。
単純な全ラップ平均ではない。
短いスティントで攻めた車の速さをそのまま長いスティントに持ち込むことはせず、逆に長いスティントでタイヤを温存した車を不当に遅く見ることもしない。各スティントのラップ推移から、「この基準長さで走った場合にどの程度の持続可能ペースだったか」を推定した。
分析で除外・低重みとしたラップ
レースペース分析では、全ラップを機械的に平均すると誤った結論になりやすい。今回は以下のラップを除外、または低い重みで扱った。
まず、Lap 6〜11はセーフティカーおよび極端な低速区間であり、通常のレースペース評価には使用していない。ピットインラップとアウトラップも当然除外した。
また、明らかにスティントの実力を示していないラップも外した。代表例はAntonelliのLap 16である。この周はLeclercを抜いた直後で、タイムが大きく落ちている。バトル処理、あるいはオーバーテイクに使ったエネルギーのSOC回復ラップと見るのが自然であり、Norrisとの純粋比較には使わない方が妥当である。
LeclercのC4スティントではLap 17が大きく落ちており、ここも通常ペースとしては扱っていない。PiastriのC3では、Russellの後ろに詰まっていたLap 33〜35付近をそのまま評価すると、本来のC3ペースを過小評価してしまう。そのため、クリアになった後のラップをより重視した。
一方で、単に前車の後ろにいたからすべて除外したわけではない。前車から徐々に離されていく展開や、意図的にタイヤを守って後半にペースを上げる展開は、それ自体がレースペースの一部の場合がある。重要なのは、「そのドライバーが本来の持続可能ペースを出せていたか」であり、ギャップだけで機械的に判断してはいない。
上位勢の分析
Antonelli vs Norris
このレースの中心は、AntonelliとNorrisの比較である。
C4スティントについて、AntonelliがLeclercを処理した直後のLap 16を除外し、よりクリーンな比較になるLap 17〜25で見ると、平均ラップは以下のようになる。
| 区間 | Antonelli | Norris | 差 |
|---|---|---|---|
| Lap 17〜25 | 1:33.049 | 1:33.093 | Antonelliが0.044秒速い |
同じ周回同士の比較なので、燃料補正を入れても差は変わらない。
クリーンな比較ウィンドウではAntonelliがわずかに上回っている。ただし差は0.05秒/lap未満であり、実質的には同等と見るべき範囲である。
C3ではAntonelliが非常に安定していた。Norrisも近いペースで追っていたが、長い時間Antonelliの後方で走っており、ダーティエアとDRSの両方の影響を受けている。Norrisの実力値を読み切るのは簡単ではないが、総合するとAntonelliがごくわずかに優位、Norrisは+0.1秒/lap以内という評価になる。
Piastri
Piastriは生平均だけを見るとやや遅く見えやすいが、これはC3スティント序盤の文脈を考慮する必要がある。交換後しばらくRussellの後ろに詰まり、Lap 33〜35付近でペースを失っている。ここをそのまま含めると、PiastriのC3ペースは過小評価される。
クリアになった後のC3はかなり良く、Antonelli/Norrisには届かないものの、Leclercと同等か、わずかに上に置ける内容だった。C4ではトラフィックやバトルの影響があり、完全なクリーン評価ではないが、総合的にはトップから約+0.4秒/lapのグループと見てよい。
Leclerc
LeclercはC4の評価が難しいが、異常ラップを除くと、C4ではPiastriやRussellとかなり近い。
C3では安定しているが、Antonelli/Norrisとの差は残った。終盤にVerstappen絡みと見られる乱れもあり、そこを除外してもトップ比で約+0.4秒/lap前後という評価が妥当である。Piastriとはほぼ同列で、順位づけはかなり微妙だ。
Verstappen
Verstappenは今回の分析で最も扱いが難しいドライバーの一人である。早い段階でC3へ交換しており、標準的なC4スティントが存在しない。そのため、他車と同じ「C4 15周 + C3 28周」の基準に完全には乗せられない。
C3での走行量は十分にあるが、スティントが長く、終盤はバトルの影響が大きい。終盤の落ち込みをそのまま標準28周換算に持ち込むのは不適切である。一方で、序盤はトラフィックやレース展開の影響もある。
したがって、Verstappenは表には入れたものの、信頼度は低めである。推定値はトップ比で+0.6秒/lap前後。ただし、これは他の上位勢より誤差幅が大きい。
Russell
C4のクリーン寄りの区間では、LeclercやPiastriとほぼ同じグループにいる。少なくともLeclercより0.3秒/lapも遅い、という評価は成立しない。
ただし、C3では明確に落ちる。Piastriに前へ出られた後のペース、スティント後半の維持力を見ると、Leclerc/Piastriより一段下に置くのが自然である。総合ではトップ比+0.7秒/lap前後とした。
中団勢の分析
Colapintoは中団上位の中では最も安定していた。C4、C3ともに極端な乱れが少なく、トップ比+1.4秒/lap前後という評価は比較的信頼できる。
SainzはColapintoからさらに約0.4秒/lap落ちる。C4とC3の両方で同じような位置におり、推定値の信頼度は高い。
Albon、Bearman、Bortoletoはかなり近い。丸めると3人とも+2.0秒/lap前後になる。ただし内訳は少し違う。BortoletoはC3側が比較的良く、C4側が重い。AlbonとBearmanは全体として似た水準だが、ラップの乱れやトラフィックの影響がややある。
Oconはその少し後ろで、+2.2秒/lap前後。Lindbladはさらに落ちて+2.6秒/lap前後。Perezはこの分析対象の中では最も厳しく、+3.7秒/lap前後となった。
まとめ
2026年マイアミGPの純粋レースペースは、AntonelliとNorrisが僅差で、わずかにAntonelli寄りと見るのが妥当である。Antonelliのタイヤへの優しさが今回も光っており、低いデグラデーションによって、第1スティント後半のペースでNorrisを上回った。これによりアンダーカットが実現した。PiastriとLeclercが次のグループを形成し、VerstappenはC3ロングの内容からその近辺に置けるものの、標準スティントとの比較信頼度は低い。RussellはC4では上位グループに近かったが、C3で差が広がった。
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Lap Times
Gap to Leader
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