※19:50 表1,3のアロンソ、ストロール、サインツ、ガスリー、ハミルトン、オコン、ラッセル、ヒュルケンベルグを修正
1. 分析結果と結論
各タイヤごとの各車のレースペースの力関係を表1,2に示す。
表1 ソフトタイヤでのレースペース
表2 ミディアムタイヤでのレースペース
そして、ここまでを総合してレース全体でのレースペースの力関係を求めると、表3、図1のようになる。
表3 全体のレースペース
※注意点
アロンソの第3スティントのペースは、自身の第1スティントと同等の競争力を有していたと見るやり方と、第2スティントと同等だったと見るやり方がある。本分析ではアロンソとペレスの関係や、アロンソを基準とした他のドライバーらとの関係、メルセデスのパフォーマンスの一貫性の無さなどから、後者の解釈が自然だと考えた。また、その前提でのアロンソのペースを元に、サインツ、ガスリー、サージェントのペースを計算した。
その前提で、表1のアロンソは第1スティントがフェルスタッペンの0.4秒落ち、第3スティントが0.6秒落ちとし、ストロールの第1スティントは有効なデータがないため、第2,3スティントで一貫している、アロンソとの0.1秒差を反映した。
また、ハミルトンは第1スティントがフェルスタッペンの1.0秒落ち、第3スティントが1.2秒落ちで、これら平均した値を表1に記した。
また、ピアストリはダメージの影響があったため、比較対象から除外した。同様に角田の最終スティントも、トラブルの影響があることを考慮し、計算対象外とした。
レースペースを振り返って
フェルスタッペンとノリスのペース差は、第2スティントまで一貫して0.1秒であり、非常に接近していた。しかしその中でフェルスタッペンが確実に少しずつ差を広げていったのは、流石という所だ。
ハミルトンは第2スティントでは、レッドブル、マクラーレンに次ぐ競争力を有していたが、ソフトでのペースが壊滅的であった。「ある条件では非常に速いが、ある条件では手も足もでない」というメルセデスのここ2年のキャラクターがまたしても出てしまったということだろう。
アストンマーティンは完全に復活してきており、中でもストロールが高い競争力を見せたのは興味深い。アロンソもペース自体よりペレスに対する防御を考えて走っていたことは事実だが、それでもそのアロンソに比肩するレベルには来ており、来期以降が楽しみだ。
アルファタウリ勢も好ペースを見せたが、決勝ではアストンマーティンやアルピーヌが力を発揮できたため、やや厳しい展開となったが、リカルドがガスリーと互角のペースを発揮しており、本来ならばまともな位置からのクリーンなレースを見てみたかった所だ。
2. 分析方法について
フューエルエフェクトは0.04[s/lap]とし、グラフの傾きからデグラデーション値を算出。タイヤの履歴からイコールコンディションでのレースペースを導出した。また、クリア・ダーティエアやレースの文脈も考慮している。
また、スティント前半でダーティエアでも、途中からクリアエアになっており、かつ前半のダーティエア内でもタイヤを労われていて極端なペースダウンでもない場合、スティント全体をクリアエアのように扱ってよいと考え、当サイトではその状態をオープンエンドクリアエア(OEC)と定義している。
今回は予選で使用したソフトと新品ソフトの差、スクラブ済みと新品のミディアム・ハードの差は無視することとした。
3. 付録
参考までに、分析に使用したグラフを添付する。
Writer: Takumi