1. 分析結果と結論
各タイヤごとの各車のレースペースの力関係を表1,2に示す。
表1 ミディアムタイヤでのレースペース
表2 ハードタイヤでのレースペース
そして、ここまでを総合してレース全体でのレースペースの力関係を求めると、表3、図1のようになる。
表3 全体のレースペース
※注意点
ヒュルケンベルグはハードでのペースが極端に悪かったが、この数字は総合結果の算出には使わず、ミディアムでのペースを基準とした。その他にも、今回はペレスの第3スティント以降や角田の最終スティントなど、極端にペースが悪化する場面があった。これらについても、正常な値と考えず、全体のレースペースはこれらを含まない形で算出した。
また、今回もフェルスタッペンは、付録のグラフからも分かるように、まだ余裕を持って走っていたと考えられる(算出方法は第1スティントの平均ペースのピアストリとの比較)。
レースペースを振り返って
まず非常に印象的なのはレッドブル勢で0.7秒、アストンマーティン勢で1.1秒、アルファタウリ勢で0.8秒と、チームメイト間で大きな差がついたことだ。非常に難しいコンディションだったと考えられるが、暑さによる体力的な問題の影響はそこまで大きくなさそうだ。それは体力面の問題が出にくい予選でのタイムを見れば分かる。予選でもレッドブル勢で0.979秒、アストンマーティン勢で1.122秒、アルファタウリ勢で0.577秒の差が出ており、超高速のレイアウトや路面コンディションなどの影響で、差がつきやすい条件となっていたと考えられる。
チーム毎の比較で言えば、やはりマクラーレンが優れており、メルセデスも肉薄していた。今季のハミルトンはレースペースではラッセルに対して9勝1敗と非常に優れており、ハミルトンが走っていた場合にマクラーレン勢相手にどんなレースを見せたのか気になる所だ。それ故に非常に非常に勿体ないことをしたと言えるだろう。
また、ウィリアムズまでの上位チームと、アルファタウリ以下の下位チームという形で二極化してしまったのも今回の特徴だろう。図1を見れば視覚的にも明らかだ。
2. 分析方法について
フューエルエフェクトは0.07[s/lap]とし、グラフの傾きからデグラデーション値を算出。タイヤの履歴からイコールコンディションでのレースペースを導出した。また、クリア・ダーティエアやレースの文脈も考慮している。
また、スティント前半でダーティエアでも、途中からクリアエアになっており、かつ前半のダーティエア内でもタイヤを労われていて極端なペースダウンでもない場合、スティント全体をクリアエアのように扱ってよいと考え、当サイトではその状態をオープンエンドクリアエア(OEC)と定義している。
今回は予選で使用したソフトと新品ソフトの差、スクラブ済みと新品のミディアム・ハードの差は無視することとした。
3. 付録
参考までに、分析に使用したグラフを添付する。
Writer: Takumi