※18:51 表2,3にノリスを追加。振り返りの内容を微修正。
1. 分析結果と結論
各タイヤごとの各車のレースペースの力関係を表1,2に示す。
表1-1 ミディアムタイヤでのレースペース 1
表1-2 ミディアムタイヤでのレースペース 2
表2 ハードタイヤでのレースペース
そしてここまでを総合してレース全体でのレースペースの力関係を求めると、表3のようになる。
表3-1 全体のレースペース(レッドブル勢を除く)
表3-2 全体のレースペース(visualized)
☆注意点
今回は上位勢にダーティエアの影響が大きく、フェルスタッペンやペレスを他のドライバーと定量的に比較することは不可能だった。また第1スティントでクリアエアだったサインツやラッセルも後方に対するブロックでラインを変えており、彼らのペースを本来のペースとして評価するのも不適切だ。
定性的にはルクレールはサインツより、ペレスはルクレールより速かったことは明白だ。また同様にマクラーレン勢についても、ミディアムタイヤではアルボンより速かったのは確かだ。
レースペースを振り返って
上記の注意点を踏まえると、レッドブル勢、特にフェルスタッペンは今回も圧倒的なペースアドバンテージを持っていたと考えられる。
ハミルトンはアロンソと共に、レースペースにおいて今季ここまでチームメイトに全勝していたが、ついに土がついた。タイヤの履歴に差があったことで目立たなかったが、後半のミディアムでのペースが悪かった。前半のハードのスティントはまずまずだ。
マクラーレンもノリスがハミルトンと同等のスピードを見せ、ストレートの多いサーキットでウィリアムズを凌駕し、アストンマーティンに明白な差をつけたのは大収穫だろう。
アストンマーティンはストロールのペースの悪さが目立つが、アロンソとストロールの差は今季0.4秒前後で推移しており、これはマッサやフィジケラ、オコンらと特に変わらず、筆者としてはストロールのを遅いドライバーと評するのは誤りであると考えている。マッサはマシン次第では最終戦までタイトルを争えるドライバーであり、現状の不振はあくまでマシンパフォーマンスの低下に起因するものだと考えられる。
また、ローソンも素晴らしい走りを見せた。今季のアルファタウリはレースペースに秀でた特性を持っており、仮に角田が走っており、ローソンより0.2秒速かったとするならば、1ストップ、2ストップによらず10位入賞を果たしていた可能性が高そうだ。
2. 分析方法について
フューエルエフェクトは0.06[s/lap]とし、グラフの傾きからデグラデーション値を算出。タイヤの履歴からイコールコンディションでのレースペースを導出した。また、クリア・ダーティエアやレースの文脈も考慮している。
また、スティント前半でダーティエアでも、途中からクリアエアになっており、かつ前半のダーティエア内でもタイヤを労われていて極端なペースダウンでもない場合、スティント全体をクリアエアのように扱ってよいと考え、当サイトではその状態をオープンエンドクリアエア(OEC)と定義している。
今回は予選で使用したソフトと新品ソフトの差、スクラブ済みと新品のミディアム・ハードの差は無視することとした。
3. 付録
参考までに、分析に使用したグラフを添付する。
Writer: Takumi