今回はメキシコGPのFP2における各車のロングランペースを分析していこう。
1. 各種タイヤでの力関係
まず図1にミディアム、図2にハードタイヤを履いたドライバーのロングランペースを示す。なお図1は視認性に配慮して2つに分割した。
ミディアムではノリスが最速に見えるが、フェルスタッペンは唯一ラップタイムが右肩上がりになっており、10周しないうちにタイムが逆転している。これを考慮すると、実際のレースの長いスティントではフェルスタッペンの方が上になるだろう。
フェラーリ勢はスティント序盤こそ良いものの、急激なドロップオフに見舞われている。ルクレールはご覧の通りであり、グラフは割愛したがサインツも基本的に同様の傾向だ。フェラーリがこの問題を解決して来られるか否かに注目が集まる。
オコンはノリスから1.0秒程度の差だが、図1-2を見ると現時点での中団勢の力関係も見えてくる。ボッタスは走り始めのペースは良いが、デグラデーションが大きい。角田はかなり不規則なタイムの推移となっているが、全体的にはオコンにはやや届かない程度だろう。
一方でハードタイヤ勢の図2に着目すると、リカルドはペレスよりもデグラデーションが大きいものの、10周目の段階でも1秒程度の差に留まっており、そこそこの競争力がありそうだ。
また、アルボンはペレスと互角となっているが、流石に考えにくいため、第2スティントを想定した燃料搭載量と考えるのが自然だろう。20周分軽かったとすると、フューエルエフェクトを0.05[s/lap]とした場合、1.0秒程度のアドバンテージになるため、アルボンのグラフはその分オフセットして見るのが適切と考えられる。
2. タイヤ性能の比較
続いて、ミディアムタイヤとハードタイヤを比較してみよう。いくつかのチームではドライバーごとにタイヤを分けたので、それらの比較を以下に示す。
今季の傾向として、フェルスタッペンはペレスを、アルボンはサージェントを上回る確率が高い。前述の通りアルボンのペースは1秒下にオフセットして見るとすると、チームメイト間で逆転現象が起きており、ミディアムの方が優れたタイヤである可能性が高い。
マクラーレンについても、ピアストリは時折苦戦することがあるものの、ノリスと近いペースで走れることも多く、そのピアストリがノリスにかなり水を開けられていることを考えると、前述の結論がかなり確からしそうだ。
とはいえ、しかし、路面コンディションの変化により、決勝中にタイヤ毎の力関係が変動することもしばしば見られる。レースが展開する中で各車のラップタイムに注目し、柔軟な戦略を組んでいくことが重要になるだろう。
Writer: Takumi