• 2024/11/22 04:13

バーレーンGP FP2ロングラン分析

Bytakumi

3月 4, 2023

 F1 2023年シーズンもついに開幕。FP2では各車が精力的にロングランに励んだ。今年も当サイトではラップタイムを分析し、決勝の展開を紐解く手がかりを見つけていこう。

1. 優勝争いの中心はフェルスタッペン

 図1にトップチーム勢のロングランペースを示す。

図1 フェルスタッペン、アロンソ、ペレス、ルクレール
※全員ソフトタイヤ

 走り始めこそアロンソのペースが光るが、すぐにフェルスタッペンと並び、5周目以降は0.2~0.3秒ほど遅れをとっている。現実的にはペレスと戦えれば御の字といった所かもしれない。

 一方のフェルスタッペンのタイムはほぼ横ばいとなっており、これは燃料が軽くなって速くなる分(フューエルエフェクト:1周あたり0.06秒)とタイヤのデグラデーションによって遅くなる分が同じであることを意味している。それだけマシン・ドライバー両面でタイヤを労ってもこれだけのハイペースを維持できるという点で、やはりフェルスタッペンがやや抜け出している感は否定できないだろう。

 また昨シーズン前半戦で最速を誇ったフェラーリ&ルクレールだが、今回のロングランを見る限りはかなり厳しそうだ。フェルスタッペンの1.0秒落ちという状況となっており、後述の図2の中団勢と変わらない位置にいる。ちなみに、(グラフは割愛するが)ルクレール自身はチームメイトのサインツのペースを明確に上回っており、今季もドライバーの力としてはルクレールが何度も魅せてくれそうだ。

2. 中団トップはマクラーレンvsアルピーヌ?

 図2に中団争いのロングランペースを示す。

図2 中団勢のロングランペース
※全員ソフトタイヤ

 テストで不穏な空気が立ち込めていたマクラーレン。しかしノリスのロングランを見る限りはアルピーヌと全くの互角で、ここ2年の流れをそのままに持ってきているように見える。

 心配なのはメルセデスで、ラッセルが中団の中でも3番手という状態になっている。アップデートまでは厳しい戦いが続いてしまうのか?セットアップ面でやりようがあるのか?序盤の注目ポイントとなりそうだ。

 サージェントと角田は走り始めはサージェント優勢、その後互角のペースとなっている。

 また、一発では上位に食い込んだヒュルケンベルグだったが、ロングランでは厳しいペースとなっている。

3. 美味しいタイヤは?

 さて、レースでは最低でも2種類のタイヤを使用しなければならない上に、セット数にも限り(ソフト8、ミディアム3、ハード2セット)がある。レースでは戦略を駆使してライバルの前でフィニッシュすることが重要で、その為にも現時点でどのタイヤがどのようなパフォーマンスを持っているか分析しておく必要がある。当サイトでも、限られた情報から可能な限りの知見を引き出してみよう。

 図3にアルボン、ノリス、ボッタス、図4にヒュルケンベルグのレースペースを示す。

図3 アルボン(ハード)、ノリス(ソフト)、ボッタス(ミディアム)の
ロングランペース
図4 ヒュルケンベルグのロングランペース
※前半ソフト、後半ミディアム

 図3に着目すると、ハードのアルボンは中団トップのノリスのペースを凌いでいる。これはサージェントを大きく上回っていることも意味しており、ハードはソフトと比べても少し美味しいタイヤに見える。ただし、サージェントがルーキーであることは加味する必要があり、単にウィリアムズが速いという可能性も残しておいた方が賢明だろう。

 また、ミディアムのボッタスは中団で遅れを取ってしまっており、大きなデグラデーションが見受けられる。

 一方で、ヒュルケンベルグも前半でソフト、後半にミディアムを履いたが、後半のスティントが前半スティントとほぼ互角かやや劣る内容となっている。後半のスティントの方が7周分燃料が軽いため、本来は0.06[s/lap]×7[lap]≒0.4[s]速くなっても良い。したがって、前述のボッタスの件と総合すると、ミディアムが美味しくないタイヤという可能性が最もらしく見えてきそうだ。

 このことから、決勝でのタイヤ戦略はソフトとハードがメインになってくると予想できそうだ。

Writer: Takumi