マイアミGPのFP2が行われ、各車がロングランに励んだ。とはいえ、赤旗の影響もあり、極めて周回数が少なく、未知の要素が多い中で決勝を迎えることとなりそうだ。
本ページでは、限られたロングランデータから可能な限りの情報を引き出してみよう。
1. 各チームのロングラン比較
まずは各チームの代表的なドライバー同士を比較する。視認性の都合上グラフは2つに分けた。なお、全車ミディアムタイヤでのランとなっている。
図1に着目すると、ルクレールの1周落とした後の5周目のタイムをどう見るかは難しいところだ。ただし、後述のベッテルや角田を見ても、1周のクールダウンがタイヤやエネルギー状態の観点でアドバンテージとなった可能性が高く、普通に走っていれば34秒台前半あたりだったのではないだろうか?だとすると、フェラーリはメルセデスに対してアドバンテージはあるものの、大差では無さそうだ。
また、ペレスの3,4周目をどう見るべきかは、手元にある情報からは判断不能と言うべきだろう。だが、少なくとも今回は3チームがかなり接近した所にいると考えて良さそうだ。
メルセデスに接近する速さを見せたのはマグヌッセンだ。ただし、アルファロメオもジョウがそれに迫るスピードを見せており、ボッタスの方が明確に速いここ数戦の傾向を適用すれば、アルファロメオ&ボッタスが中団最上位にくる可能性が高いように見える。
そしてマグヌッセンに次ぐペースだったのが、アルピーヌのアロンソとなっている。
続いて図2に着目しよう。図1に示した中団上位の3チームはそのまま残してある。
アロンソに迫る競争力を見せたのがガスリー。次いで、ノリス、アルボンとなっている。ベッテルはこれだけでは何とも言えないが、ルクレールと同じく1周落とした後にタイムが上がっているため、アロンソの0.5~7秒落ち程度で推移するペースと考えるのが自然に思える。
2. チームメイト比較
続いてチームメイト比較を行う。今回比較可能だったのはメルセデス勢とアルピーヌ勢だけだ。
メルセデスではラッセルの方が速いが、どうやらハミルトンは走り出しを慎重にしすぎたようだ。プッシュすると5周目にラッセルと同等のペースとなっている。ちなみに、それまでの間はラッセルの方がタイヤを使っていたはずだが、その差は誤差範囲内と見て良いだろう。フューエルエフェクトを0.07[s/lap]とし、初めの2周と4周目で半分の0.02[s/lap]×3、3周目で0.07[s/lap]の差がついたとすると、足し合わせてハミルトンのタイヤアドバンテージは0.1秒程度だと考えられるからだ。
一方、アロンソとオコンは平均するとアロンソの方が上回るペースを見せている。ただし、アロンソはハイペースを保った結果、4周目からガクンと落ち、その一方でオコンは無理ないペースでタイヤを持たせ、異なるアプローチを試しているようにも見える。最も、周回数が少ないため、いつも以上に憶測の域を出ないのは確かだ。
3. タイヤの差
今回は角田とリカルドがソフトタイヤを履いた。それぞれのチームメイトはミディアムタイヤで、その比較を図4に示す。
角田はルクレールやベッテルと同じく、1周落とした後にタイムアップしており、彼らと同様に見るならば、3,4周目も35秒台中盤あたりと考えるのが自然だろう。
リカルドの周回数が極端に少ないため、かなり頼りないデータではあるが、これを見る限りソフトのロングランはかなり厳しそうに見える。
またシューマッハはハードタイヤを履いた。ミディアムのマグヌッセンとの比較を図5に示す。
シューマッハは2,3,4周目でペースを落として走っており、何をしていたのか不明だが、順調に走った2周だけをとって見ても、マグヌッセンのミディアムに対して大きく遅れを取っている。
これらを踏まえると、決勝で使えるタイヤがミディアムオンリーになるのではないか?という懸念が生まれてくる。その場合メルボルンでアルボンが採ったような、「美味しくないタイヤのスティントを極端に短くする」という戦法が有効になってくるだろう。
マイアミGP予選は本日29:00~(日付変わり5時から)、決勝は明日28:30~(日付変わり4時半から)行われる。
Analyst: Takumi