イギリスGPのFP2が行われ、各車がロングランに励んだ。本ページでは、各車のロングランデータから可能な限りの情報を引き出してみよう。尚フューエルエフェクトは0.07[s/lap]とした。
1. 各チームのロングラン比較
まずは各チームの代表的なドライバー同士を比較する。まず図1にソフトタイヤでのロングランを行ったドライバー達のペースを示す。
ソフトではサインツとフェルスタッペンが互角と言えるだろう。中団勢ではリカルドが角田とマグヌッセンに差をつけている。
またデグラデーションは昨年の小ささから比べれば大きく、サインツで0.2[s/lap]、リカルドやマグヌッセンを横ばいと見做せば0.07[s/lap]となっている。
※参考:昨年のレースペース
続いてはミディアム勢を見てみよう。
ルクレールとハミルトンが非常に接近している。路面がフラットなシルバーストーンでメルセデスが本領を発揮するか注目が集まるところだ。
中団勢ではジョウが最速で、最初の3周に関してはルクレール&ハミルトンに近いペースを見せている。
また、ミディアムでもデグラデーションは比較的大きく、ルクレールで0.12[s/lap]程度となっている。
続いてはハードタイヤ組だ。
ハードではラッセルが最速だが、タイヤのウォームアップに時間がかかっており、序盤の数周は中団勢並みのペースとなっている。
中団ではノリスとボッタスが接近しており、ガスリーはやや水を開けられた形だ。ソフトのリカルドやミディアムのジョウを見ても、今回はマクラーレンとアルファロメオが競争力を有していそうに見える。
ハードでは流石にデグラデーションが少なく、ラッセルとノリスはフューエルエフェクト以上にタイムが右肩上がりになっている。ただし、ボッタスやガスリーは横ばいかやや右肩下がりのようで、こちらは0.07[s/lap]以上のデグラデーションがありそうだ。
続いてはチームメイト間でタイヤチョイスを分けたチームのデータから、3種類のタイヤの差を紐解いてみよう。まずはソフトとミディアムの比較だ。
ルクレールとサインツ、マグヌッセンとシューマッハ共に似たようなペースとなっている。ただし、均してみるとソフトのサインツの方がルクレールより落ち幅が大きく、長いスティントではミディアムの方が優れていると考えても良いかもしれない。
続いてミディアムとハードの比較を行う。
ラッセルのハードは、タイヤが機能し始めた7周目の時点でハミルトンの1周目よりも0.7秒ほど速い。燃料はハミルトンの1周目よりも6周軽く(0.4秒相当)なっているが、それを差し引いてもハードは熱が入ればかなり競争力のあるタイヤと言えそうだ。
一方でボッタスは走り始めが遅いのみならずデグラデーションも大きい。ただしジョウのタイムの推移を見ると(4,5周目は無視)、最初はハードのボッタスに対して0.5秒以上のアドバンテージがあるものの、6周目には交差しており、このまま走り続ければ逆転していたと考えられる。
よってデグラデーションの大きさはアルファロメオチームの問題であり、チーム内で相対的にハードの方が優れたレースタイヤであることは他チームと変わりないと考えるのが自然だろう。
続いてハードとソフトの比較を行う。
こちらでも、ハードのノリスはタイヤが機能し始めると、8周目の時点でリカルドの1周目を0.4秒上回っている。先程と同様にフューエルエフェクトを加味すると0.1秒ほどリカルドの1周目の方が優っているため、一概にハードの方が上とも言い難いが、走り始めで大差なくデグラデーションも小さいならば、やはり優れたレースタイヤと言えるだろう。
Analyst: Takumi