前回はトップ4チームについて予選・レースペースのチームメイト比較を行った。今回は中団以降の6チームに着目する。
1. アストンマーティン
以下に予選、レースペースの順で比較表を示す。
※予選はドライコンディションの同一セッション内での比較に限定。レースペース分析はタイヤ、燃料、レース上の文脈(クリアエア・ダーティエア・プッシュする必要性の有無)を考慮した。定量的に比較可能な場合のみを扱っている。
表1 アストンマーティン勢の比較(予選)
表2 アストンマーティン勢の比較(レースペース)
昨年に引き続きアロンソの完勝となっているが、差はやや縮まった。これには、中盤戦でアロンソのペースが今ひとつのレースがいくつかあったことが影響しており、ストロール自身も比較的安定したパフォーマンスを見せている。
2. RB
続いてはRB勢について見てみよう。
表3 RB勢の比較(予選)
表4 RB勢の比較(レースペース)
昨年の傾向である『予選の角田、レースのリカルド』がそのまま継続している(参考)。
中団争いはタイムが接近しているため、予選で0.1~0.2秒遅れるだけでも、間に何台も入ってきてしまい、グリッドポジションが非常に悪くなってしまう。さらに、レースペースも接近しているため、DRSトレインが形成され、少なくとも第1スティントでは身動きが取れなくなってしまう。そしてクリアエアを探そうと思えば、周りと異なる戦略を採る必要があり、シミュレーション上の効率が損なわれる。
では、この状態のリカルドをレッドブルに乗せた場合に機能したか?という問いには現状では”No”だろう。昨年までの優勝争いでは、フェルスタッペンから0.3~0.4秒落ちであっても上手くいけば2番手、悪くても4番手には踏みとどまれたかもしれないが、現在のトップ4チームの争いは熾烈で、8番手、あるいはアロンソやヒュルケンベルグに食われる恐れもある。よって、予選でフェルスタッペンの近くにつけることができ、レースでも離されずにライバルチームの戦略に影響を及ぼせるドライバーをレッドブルが求めるならば、リカルドに見切りをつけたのも頷ける。
その意味では、角田もレースペースを改善することがレッドブルでの活躍への第一歩と言えるかもしれない。ラスト6戦はローソンという半分未知の相手との比較になるが、チーム側はあらゆるデータで評価できると考えられるため、進歩を証明することはできるだろう。
逆にローソンは、角田相手に予選で互角、レースペースで0.1~0.2秒程度の差をつけて上回ることができれば、まさにレッドブルが探していた2人目のドライバーということになるだろう。
3. ハース
続いてはハース勢を見てみよう。
表5 ハース勢の比較(予選)
表6 ハース勢の比較(レースペース)
ここは、昨年に引き続きヒュルケンベルグの完勝だ。その差も安定している。
4. ウィリアムズ
続いてはウィリアムズ勢だ。
表7 ウィリアムズ勢の比較(予選)
表8 ウィリアムズ勢の比較(レースペース)
特にレースペースで大差がついた。昨年は逆の傾向であったが、何れにせよ大きな差がついており、サージェントとしては、仕方がない部分もあるだろう。
5. アルピーヌ
続いてはアルピーヌ勢を見てみよう。
表9 アルピーヌ勢の比較(予選)
表10 アルピーヌ勢の比較(レースペース)
オコンは、アロンソ相手でも予選では僅差に持ち込めるが、レースペースでは大差をつけられていた。この傾向はガスリー相手でも同様となっている。
6. ザウバー
続いてはメルセデス勢だ。
表11 ザウバー勢の比較(予選)
表12 ザウバー勢の比較(レースペース)
昨年はボッタスと互角のペースを見せたジョウ。今年はレースペースでは問題ないものの、予選で力を発揮しきれていない。終盤戦に向けて問題を解決できるか注目したい。
Takumi