前回はチャンピオン争いに的を絞り、ラスト6戦の展望について考察した。今回は18戦を終えてのチームメイト比較について見ていこう。まずはトップ4チームに着目する。
1. マクラーレン
以下に予選、レースペースの順で比較表を示す。
※予選はドライコンディションの同一セッション内での比較に限定。レースペース分析はタイヤ、燃料、レース上の文脈(クリアエア・ダーティエア・プッシュする必要性の有無)を考慮した。定量的に比較可能な場合のみを扱っている。
表1 マクラーレン勢の比較(予選)
表2 マクラーレン勢の比較(レースペース)
昨シーズンよりもピアストリのレースペースが改善し、ノリスと0.2秒差という所まで持ってきたが、それでもノリスの完全優位は揺らがない。ノリスはスタートと1周目の攻防で損をしてきたが、ここが改善されると、マクラーレンとしても不動のナンバー1としてドライバーズタイトルに向けて突き進みやすくなるだろう。
2. レッドブル
続いてはレッドブル勢について見てみよう。
表3 レッドブル勢の比較(予選)
表4 レッドブル勢の比較(レースペース)
今年もフェルスタッペンがペレスを圧倒している。ただし、ここ数戦はその差が小さく(定量的な分析ができなかったアゼルバイジャンGPのレースペースも明確にペレスの方が速かった)、この点も現在のレッドブルの苦境と関係しているかもしれない。前半戦のように、フェルスタッペンが安定してペレスを0.4秒前後上回れるようになると、4度目のタイトルも大きく手繰り寄せられるようになるだろう。
3. フェラーリ
続いてはフェラーリ勢を見てみよう。
表5 フェラーリ勢の比較(予選)
表6 フェラーリ勢の比較(レースペース)
サインツは予選ではルクレールに食い下がることができるが、レースペースではルクレールが大差をつける展開となった。これは2021,22年に見られた傾向で、2023年こそ両者の予選とレースでの力関係のバランスが取れたが、再び同じ傾向に戻ってしまった。ジョック・クレアによれば、昨シーズンの終盤戦以降ルクレールが一層レースペースにフォーカスするようになったようで、この点が影響しているかもしれない。(参考記事)
4. メルセデス
続いてはメルセデス勢だ。
表7 メルセデス勢の比較(予選)
表8 メルセデス勢の比較(レースペース)
過去2年は、予選で互角、レースでハミルトン優勢という流れだったが、傾向はそのままに、予選でラッセル優勢、レースで互角という力関係に変わった。これだと、どちらがもう一方の蓋をしてしまう展開にはなりにくいため、メルセデス勢にとってはラスト6戦も結果をマキシマイズしやすい状況と言えるだろう。
Takumi
次回予告
次回は中団以降の6チームについて、チームメイト比較を行う予定。