こちらのページでは「オーストリアGPレビュー(1)〜ルクレールvsフェルスタッペンの頂上決戦再び!〜」の補足として、ルクレールとフェルスタッペンのハードタイヤでの競争力の分析過程を示す。
ハードに履き替えてからの力関係は、常に10周以上のタイヤ履歴の差があり、デグラデーションが大きい上に、両者のタイム推移の傾向も異なるため、単純に計算しようとすると精度に問題が出てくる。そこで当サイトでは両者の力が互角とした場合のシミュレーションモデルを作成し、現実との差から2人の実力差を計算した。
シミュレーションはルクレールの第2スティント(27周目から49周目まで)について行う。図1がシミュレーションの理論値、図2が実際のペースだ。
尚、ルクレールのデグラデーションを0.09[s/lap]、フェルスタッペンを0.10[s/lap]とした。
①(ルクレールのスティント始まり)の時点でフェルスタッペンはルクレールの約7秒前方にいた。そしてシミュレーション上では、ルクレールがそこから1.3~1.4秒ほど速く走り、その後ピットに入ったフェルスタッペンが0.8~0.9秒詰めることで、49周目には15.6秒になっている計算だ。
しかし実際には2人の差は17.2秒になっていた。さらにルクレールのみがベッテルのイエローフラッグで2秒ロスしている。その他でも双方諸々のロスはあるが同程度と考えられ、ルクレールは
17.2-15.6+2=3.6(秒)
を23周で稼いだことになる。平均0.2秒だ。
前述の通り、ルクレールとフェルスタッペンがスティント序盤に互角のペースであることを前提としたシミュレーションとの比較のため、今回のルクレールはハードでもフェルスタッペンより0.2秒上回り、デグラデーションも0.01[s/lap]少ないという素晴らしい出来だった。