1. 分析結果と結論
先に分析結果を示す。分析の過程については次項「2. レースペースの分析」をご覧いただきたい。
表1 ウェットタイヤでのレースペース
ウェットでも、ルクレールのペースはサインツ以下を完全に凌駕しており、ルクレール自身の仕事としては予選からレースまで完璧だった。
フェルスタッペンはペレスの後方で真の力を発揮できておらず、ペレスより上だったのは間違いなさそうだが、それがどの程度かは不明だ。ペレスがいなくなった17周目、そしてその前の一応2秒ギャップでペースアップした16周目のタイムから考えればルクレールに近いタイムは出ていた。ただし、ペレスの後ろでタイヤをセーブしていたことを加味すれば、トータルではルクレールに及んでいなかったと考えるのが妥当だろう。
またリカルドがウェットタイヤを全く扱えていない一方で、ノリスが非常に高い競争力を見せた。そしてアロンソもラッセルとイーブンで、こちらもチームメイトに大差をつけた。
表2 ミディアムタイヤでのレースペース
ドライで定量的な比較が可能だったのはミディアムのこの2人だけだ。といっても、タイヤの差が20周あるため、精度には疑問符がつく。他はダーティエア、もしくは抜かれないコース特性を利用してゆっくり走っているドライバーが大半だった。
2. レースペースの分析
以下に分析の内容を示す。フューエルエフェクトは0.04[s/lap]で計算した。
また、各ドライバーのクリアエアでの走行時を比較するために、全車の走行状態をこちらの記事にまとめた。
2.1 ウェットでの比較
前半のウェット路面では、ウェットタイヤでクリアエア走行できたドライバーたちの比較が可能だ。インターミディエイトの出番は数周であり、速い遅いを論じるには十分ではないと判断した。
各々のラップタイムを平均すると表1の結果となった。因みにボッタス、アルボン、リカルドらはミスやバトルなどで極端に遅い周があり、それらは除いている。
2.2 ドライでの比較
ドライで比較可能だったのはミディアムのラッセルとノリスだ。
前半はタイヤが異なるが、後半にノリスがミディアムに履き替えており、ここではノリスが平均3.1秒ほど速い。ラッセルのタイヤが20周古いことを、デグラデーション0.12[s/lap]で考慮すると、実力的にはノリスが0.7秒ほど上回っていたと言える。
Analyst: Takumi