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2007年 イギリスGPレビュー【ライコネンvsアロンソの頂上決戦】

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 こちらのページではライコネンとアロンソが戦略を駆使して優勝を争った2007年のシルバーストーンをお送りしよう。

 なお、最初に1. レースのあらすじ、次に2. 詳細な分析を記した。

1. レースのあらすじ

 予選ではマクラーレンのハミルトンがポール。2番手にフェラーリのライコネン、3番手にマクラーレンのアロンソがつけた。

 スタートタイヤはハミルトンとアロンソがハード。ライコネンがソフトと選択が分かれ、第1スティントはハミルトンの真後ろをライコネンが追い回す展開に。アロンソもさほど離されず3番手でついて行くことができた。

 ハミルトンはやはり軽めで16周目にピットへ。ハードタイヤに履き替える。

 続いてライコネンは18周目にピットストップ。9.1秒のストップで送り出す。再びソフトタイヤだ。

 続くアロンソは20周目にピットへ。こちらは6.3秒のストップでライコネンの前に戻る。こちらはソフトタイヤだ。ピットストップ時間からは第2スティントはかなり短く、2回目のピットストップはライコネンより先になることが予想された。

 第2スティントは軽い状態のアロンソがライコネンとの差を広げ、5.5秒まで開いたところで37周目に2回目のピットストップへ。そこからはライコネンが軽い状態を活かして速いラップタイムを刻み、6周後の43周目にピットストップを行うと、アロンソの約2秒前でコース復帰。これにて決着となった。

2. 詳細なレース分析

 まずはライコネン、アロンソ、ハミルトンのレースペースを見てみよう。

画像1

Fig.1 ライコネン、アロンソ、ハミルトンのレースペース

 第1スティントのライコネンは、ハミルトンがいなくなると一気にペースを上げた。しかしハミルトンに対して2周しか余分に持っていなかったため、アロンソに対して十分なマージンを築く時間がなく、アロンソが給油時間を短くすると逆転されてしまった。

 このアロンソ&マクラーレンの戦略は非常に賢い。ポテンシャルでフェラーリに対して劣勢である以上、前に出られたら逃げられて終わりだ。そんな中で前を抑えて軽い燃料で飛ばし、最後のピットストップ後は新品タイヤの利を活かしつつ、順位を守りきれる可能性に賭ける戦略だ。第2スティント終盤で相手のタイヤがタレてくれれればさらに勝機は広がるだろう。

 アロンソの第2スティントは走り始めは速く、その後グレイニングフェーズを経て、スティント終盤には再びペースアップしている。一方、同じタイミングのハミルトンのペースはハードタイヤでもデグラデーションが0.13[s/lap]と非常に大きい。第1スティントでもアロンソの方がペースが良い上にタレも小さくなっており、今回の2人には明確な差があった。

 計算上はアロンソが第1スティントで0.3秒、第2スティントで0.5秒ハミルトンを上回っており、ソフトを履いた第2スティントで0.2秒ゲインしている。これを見てもソフトタイヤに履き替えたのは正解だった。

 一方のライコネンはハードタイヤでスティントを通して安定したタイムを刻んでいる。デグラデーションも0.01[s/lap]と非常に小さく、アロンソが軽い状態で逃げて行っても焦らずに自分自身のペースを刻み続けたことが勝因に繋がった。

 ちなみにライコネンのペースは第1スティント終盤を参考にすればマッサを0.1秒ほど上回っている。仮にライコネンのペースがマッサと同程度だったとすると、ピットレーン出口で並ぶぐらいだったと思われる。

 今回は、勝負にならないレースで勝負に持ち込んだアロンソ、そしてそれに惑わされずに自身のペースを刻み続けて優勝をもぎ取ったライコネンと、両者に最大級の拍手を送りたくなるレースだった。

Writer: Takumi