• 2024/11/21 17:38

2021年イタリアGP分析

1. 分析結果と結論

 先に分析結果を示す。分析の過程については次項「レースペースの分析」をご覧いただきたい。

Table1 全体のレースペースの勢力図

スクリーンショット 2022-01-04 18.46.44を拡大表示

Table2 チームメイト比較(速かった方に✅マーク)

スクリーンショット 2022-01-04 19.04.55を拡大表示

 アルファロメオ勢は実質的な第1スティントをハードタイヤで走っており、ペース自体はリカルドの0.4秒落ち程度だったものの、今回のミディアムとハードの差を割り出す事ができず、全体の勢力図の中には組み込めなかった。

 フェルスタッペンとボッタスは、スプリントレースでのペースを元に勢力図に組み込んだが、パルクフェルメルールもあり、シルバーストーンの結果から見ても、力関係は大きくは変わらないと考えた。

2. レースペースの分析

 以下に分析の内容を示す。フューエルエフェクトは0.06[s/lap]で計算した。

 また、各ドライバーのクリーンエアでの走行時を比較するために、全車の走行状態をこちらの記事にまとめた。

各ドライバーの使用タイヤはこちらのピレリ公式より

2.1 チームメイト同士の比較

 最初に直接の比較が可能なチームメイト同士を見ていこう。

画像3を拡大表示

Fig.1 リカルドとノリスのレースペース

 ミディアムタイヤの第1スティントで比較すると、イーブンペースと評価して良いだろう。

画像4を拡大表示

Fig.2 ルクレールとサインツのレースペース

 ミディアムタイヤの第1スティントで比較すると、ルクレールが0.4秒ほど上回っている。第2スティント終盤で集団のペースが上がってきて、サインツがついて行けなくなった際も同様の差であり、信頼できる数値だ。

画像1を拡大表示

Fig.3 ジョビナッツィとクビサのレースペース

 ハードタイヤの第1スティントで比較すると、ジョビナッツィが0.7秒ほど上回っている。

画像2を拡大表示

Fig.4 シューマッハとマゼピンのレースペース

 ミディアムタイヤの第1スティントで比較すると、互角と考えるのが妥当だろう。

2.2 ライバルチーム同士の比較

2.2.1 第1スティントでミディアムを履いたドライバー
 続いて、チームを跨いだ比較を行う。まずは、リカルド、ルクレール、ペレス、ストロールを比較してみよう。

画像9を拡大表示

Fig.5 リカルド、ルクレール、ペレス、ストロールのレースペース

 第1スティントにおいて、ルクレールとペレスはリカルドとイーブンペースだ。そしてストロールは0.8秒ほど遅れている。

 次にアロンソ、ラティフィ、シューマッハ、をリカルドと比較する。

画像10を拡大表示

Fig.6 リカルド、アロンソ、ラティフィ、シューマッハのレースペース

 アロンソはリカルドの0.7秒落ち、ラティフィは1.0秒落ち、シューマッハは2.1秒落ちとなっている。

2.2.2 第2スティントでハードを履いたドライバー
 続いて、第2スティントについて、リカルド、ストロール、ラティフィ、シューマッハを比較してみよう。

 ストロールについては既に図5に示したように、リカルドの0.5秒落ちだ。リカルドのタイヤが3周古いことは、デグラデーション0.01[s/lap]のため考慮する必要がない。

 ラティフィは図6より、リカルドの0.8秒落ちとなっている。同様にデグラデーションは考慮しなくて良い。

 また、シューマッハは図6より、1.5秒落ちとなっている。デグラデーションについても同様だ。

 さらにアロンソとストロールを比較してみよう。

画像11を拡大表示

Fig.7 アロンソとストロールのレースペース

 レース終盤で両者クリーンエアとなった部分では、アロンソが0.1秒ほど上回っている。こちらもデグラデーションを考慮する必要はない。

2.2.3 スプリントレースでの勢力図
 ここで、参考値としてスプリントレースのペースを比較してみよう。

画像5を拡大表示

Fig.8 ボッタスとリカルドのスプリントレースでのペース

 リカルドはボッタスの0.9秒落ちだ。

画像6を拡大表示

Fig.9 フェルスタッペンとボッタスのスプリントレースでのペース

 フェルスタッペンとボッタスはイーブンペースとなっている。

 パルクフェルメルールにより、決勝とさほど掛け離れた力関係にはならないと考えられ、その前提で、こちらも考察に組み込むとしよう。

2.3 各タイヤでの勢力図

 これらを踏まえると、2種類のタイヤでの勢力図は以下の通りとなった。

Table3ミディアムタイヤでのレースペース

スクリーンショット 2022-01-04 19.02.03を拡大表示

 Table4 ハードタイヤでのレースペース

スクリーンショット 2022-01-04 18.44.39を拡大表示

 リカルドはレース後半で競争力が落ちているように見えるが、セーブして走っていたと考えられる。

 これらを踏まえると、レース全体を通しての結果は、前述の表1のようになる。