• 2024/11/21 23:58

Takumi Fukaya 『月の歌 2023』を発表

Bytakumi

10月 5, 2023

 管理人Takumiは音楽家でもあり、かつては「口唱伝承クインレイ」というバンドをやっていた。今回は、バンド時代の曲『月の歌』をセルフカバーして、YouTubeにアップした。この曲は筆者が作曲作詞したもので、筆者の思想や哲学を反映している。今回はこの曲について、その背景や意味に迫ってみたい。

 まずはこちらが『月の歌 2023』のYouTube動画だ。

 この曲は「月が光っている」という事実だけを述べる叙景詩的な側面を持つと同時に、言語で切り取られた世界の不完全さに目を向け、言語で切り取ることができない情報にこそ真理があるという考えをフィーチャしている。言語は便利なツールであるが、同時に世界を簡略化し、分断するものでもある。世界は言語で表現できないもので溢れており、感覚的な部分や直感的な部分を無視すると、世界を偏った形で切り取ってしまうことになる。それはアナログの連続的な情報がデジタルの離散的な情報で切り取ることによって、質的・量的に変化する事とも本質的に同じ事だろう(反対側の理論もあるようだが…)。

 太陽の光は眩しすぎるので、世界が鮮明に見えるように感じるが、覆い隠されてしまうものもある。それはまるで言語や論理によって、分かりやすさは増す一方で、逆に本質が見えにくくなることと似てはいないだろうか?月の光のような程よい明るさが我々に真実を照らし出してくれるとは、よく言ったものだ。

 これは、デジタル情報によって鮮明になっているようで実は覆い隠されている部分が大きく、感覚的な部分も大切であるというF1の世界での話とも関係する。昨年から取り上げてきたフェラーリの戦略の問題然り、先日エイドリアン・ニューウェイも”gut feeling(腹の底から感じる反応、直感)”が大切だと語った(2022年にレッドブルとは全く異なるコンセプトのメルセデスがブラジルで勝利し、何か見落としているかもしれないと考えたが、”gut feeling”により自分たちの方向性を維持する方を選んだ)。

エイドリアン・ニューウェイのインタビュー

 この曲では、「月」や「光」、「影」、「星」、「夢」など、自然界や感覚的な世界に関連する言葉が登場している。これらの言葉は一見抽象的であるが、実際にはそれぞれが具体的なイメージや感情を呼び起こす。また、これらの言葉は互いに関連しあっており、一つ一つが独立したものではなく、全体として一つの世界を、宇宙を構成している。言わずもがな我々もその一部である。このように、言語で切り取られた世界を超えて、感覚的な世界にアクセスすることで、我々はより完成された世界観を獲得することができると筆者は考えている。

 この曲は筆者個人にとっても非常に思い入れのある曲であり、今回セルフカバーすることで、改めてその意味や価値を感じることができた。そしてこうした世界観が(まさにニューウェイの語るように)F1で勝つために必要な要素となっているのは、非常にエキサイティングだと感じた。

 この曲はデジタル環境で制作され、YouTubeを通して皆様にお届けできるのは、離散的に切り取られた音だけではあるが、それでも何かを感じ取っていただければ幸いだ。

歌詞

闇を照らす蜃気楼 透明な影と共に

旅人は燃え消える 古びた屋根と槍の彼方

その手から その手にも あの手にも

悲しき無常は誰が生む 儚き幸せは其方が生む

何度も燃えゆく我が師を 求め彷徨う道 嗚呼渦をゆく

光照らす蜃気楼 壮麗な暗闇へと

星たちよ森たちよ その微笑みを謳う旅よ

その目から その目にも あの目にも

狐の宿には青く咲き 麦畑の夢を白く駆ける

何度も燃えゆく私を 誘う道しるべ 火の雫よ

羊の群れにも大地にも 格子を超える旅 与え歌う

何度も燃えゆく私を 包む宙の調べ 友の歌よ 

Writer: Takumi