F1公式YouTubeに”F1 in Detail”が投稿され、2005年サンマリノGPのアロンソvsシューマッハの名バトルの特集が行われた。現在のアロンソのコメントと共に振り返られており、興味深い内容だ。
動画 Alonso And Schumacher Duel At Imola | F1 In Detail | 2005 San Marino Grand Prix
アロンソのコメントを和訳すると以下の通りだ。
「2005年のイモラ、僕はルノーで走っていて、フェラーリのミハエル・シューマッハと優勝争いをしていた。そう、あれは僕のキャリアでも特別なレースだった。」
「当時、レジェンドであり偉大なチャンピオンのミハエルとレースをするのは、まるで別物だった。僕はF1でいくつかの勝利を挙げて、うん…、ミラーを見てフェラーリが見えるのは良いことではないよ。(笑)」
「ディフェンスでは、ここでは2つか3つのコーナーを通常オーバーテイクポイントとして選ぶから、そこでは少しドアを閉めて走ろうとするし、一つ前のコーナーから良い加速で立ちあがろうとする。それで安全な距離を取れて、とても重要なブレーキングポイントがやってくる。この狭いサーキットでもいくつかの方法はあるけど、複合コーナーによってオーバーテイクが不可能になっているんだ。」
「(レースの)あの部分では、エネルギーやタイヤをセーブして、そして一息ついて、そういう重要な場所に本当に集中しようとしていた。」
「レース終盤、ミハエルは僕らよりも遥かに速かった。でもイモラはすごくオーバーテイクが難しいから、『僕は1位をキープできる』と言い聞かせたよ。」
「残り4,5周で、遅い車(周回遅れ)に追いつきつつあった。ブルーフラッグはあるけど、いかなるオーバーテイクも、後ろの車にとってそれを最大化するチャンスになってしまう。僕は彼らと距離をとって、彼らを抜かないようにした。ミハエルがパスできないように、サーキットの狭い部分でスローダウンして、高速セクションでは加速したんだ。うん、それはとても上手く機能したよ。」
「集中力の観点では、アップダウンがある。1時間半の間100%の集中力を維持するのは不可能だ。」
「ああいう時のために役立つエクストラのエネルギーと集中が、いつも自身の中にある。こういうときに100%を使うのさ。」
「頭の中で勝利を失うかもしれないと考えたことはなかったよ。」
「レースに勝てた時、明らかに2倍良いことがあって、フィーリングの観点でも、とてもエモーショナルな勝利だった。そして表彰台ではお祝いの瞬間だ。」
当サイトでは過去のレースに関しても分析やレビューを行なっているが、今回もグラフを交えつつ軽く振り返りを行なってみよう。
シューマッハは13番手スタートで、序盤は渋滞の中でひたすら燃料とタイヤをセーブしていたと思われる。デグラデーションは今ひとつ計算しづらく数値での言及はひとまず避けるが、前が開けてからのシューマッハのペースは、ここでの巧妙なタイヤマネジメントも少なからず貢献していそうだ。
第2スティントのシューマッハはアロンソよりも2秒近く速く、いくら抜きにくいイモラを言えど、流石に厳しそうに見える。
しかしコメントにあった通り、アロンソは要所要所を抑え、且つ周回遅れという不確定要素を徹底的に避けるクレバーな走りで見事に抑えきり、2005年シーズン3勝目を挙げた。
ちなみに、管理人にとってはこのレースが、”F1視聴者”から”F1ファン”になった思い出深いレースでもある。以降、レースの戦略的側面に惹かれ現在に至っており、ある意味当サイトの原点と言えるグランプリだ。
今週末はエミリア・ローマーニャGP。開催名称こそ変わったものの、当時とほとんど変わらないイモラサーキットでどんなレースが繰り広げられるのか、楽しみである。
Writer: Takumi