• 2026/7/28 00:36

2026年ハンガリーGP レースペース分析

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2026年ハンガリーGPは、ランド・ノリスがマックス・フェルスタッペン、キミ・アントネッリを抑えて優勝した。しかし、決勝結果をそのまま各車の純粋なレースペース順とみなすことはできない。

ハンガロリンクでは前車の直後を走る影響が大きく、周回遅れの処理にも時間がかかる。さらに今回は、1ストップと2ストップ、C3・C4・C5という異なるタイヤ、ピアストリのリタイアに伴うVSCなどが絡み、単純なスティント平均では実力差を取り出せないレースだった。

本稿では、各車のラップタイムを積算して前後関係を再構成し、タイヤ年齢、燃料搭載量、スティントの長さ、デグラデーション、トラフィック、バトル、ペース管理を考慮した。

評価しているのは、各ドライバーが共通の仮想レース条件を走った場合の、持続可能な平均競争力である。


結論

比較基準はノリスを0.0秒/周とした。

表の「推定範囲」は、別の妥当な区間選択やデグラデーション推定を採用した場合にも成立すると考えられる範囲である。0.1秒程度の差は明確な序列ではなく、基本的には同一グループとして読むべきだ。

順位ドライバーペース差信頼度評価の要点
1ランド・ノリス0.0A−第3スティントのクリアエアが決定的。短期速度だけでなく24周相当でも最速
2=オスカー・ピアストリ+0.2A−ノリスとの第3C3直接比較が主証拠。C4も強い
2=キミ・アントネッリ+0.2A−11周古いC3でピアストリと実質互角。長期デグも良好
2=ルイス・ハミルトン+0.2B+3周古いC3でピアストリとほぼ同タイム。C3ではわずかに上の可能性
5マックス・フェルスタッペン+0.3B+C4ではピアストリの約0.2秒後方。C3でもノリスに約0.2秒以上遅れる
6シャルル・ルクレール+0.4B+第2スティントのC3ではハミルトンと同等以上。第3スティントのC3では低下したが、C5では再びコンペティティブ
7ジョージ・ラッセル+0.5BC3ではハミルトンより約0.2~0.3秒後方。序盤C4は集団走行で低加重
8アイザック・ハジャー+0.7B+C3は上位級だが、C4でトップ勢との差が大きい
9ガブリエル・ボルトレト+1.2B長い1ストップC3でも中団直接比較が強い。生平均より明確に高評価
10=ニコ・ヒュルケンベルグ+1.5B+1周古いC3でリンドブラッドと同等以上
10=リアム・ローソン+1.5A−C4、C3とも安定。リンドブラッドとはほぼ完全に互角
10=アービッド・リンドブラッド+1.5B+49周C3を完走。管理走行を24周条件へ戻すとローソン級
13ピエール・ガスリー+2.0A−コラピントとの同一周回比較で約0.3秒前
14フェルナンド・アロンソ+2.2CC4はストロールより強いが、基準のC3データがない
15=ランス・ストロール+2.4C長いC4とC5から推定。アロンソよりわずかに後方
15=フランコ・コラピント+2.4B+第2C3は定量化可能。ガスリーから約0.3~0.4秒後方
17=エステバン・オコン+2.7B後半C3が主証拠。コラピントより約0.2~0.3秒後方
17=オリバー・ベアマン+2.7C+C4ではオコン級だが、C3の多くがトラフィック内
19カルロス・サインツ+2.9CC4は極端に悪くないが、基準C3の有効データがない
20アレクサンダー・アルボン+3.0B−C3でオコンらに対して明確な遅れ。終盤C5は評価困難
21セルジオ・ペレス+3.3C2本のC4から評価可能。第2スティントには長いクリアエア区間があるが、C3欠測のため不確実性あり

信頼度の意味

  • A:長い正常スティントと、条件のよい直接比較が複数ある
  • B:中心となる証拠は強いが、コンパウンド欠測やトラフィックによる外挿が必要
  • C:大枠は推定できるが、異なるコンパウンド間の橋渡しや間接比較への依存が大きい

参考扱い

バルテリ・ボッタス

参考値は約+3.2秒/周だが、妥当な範囲は+2.7~+3.8秒と広い。

有効な走行は最初のC4のみで、13周でリタイアした。

ペレスとの同一周回比較ではボッタスが約0.3秒速いが、それ以上の精度で総合ペースを出すことは難しい。


比較基準

C4・20周+C3・24周×2

今回の仮想条件は、以下の構成とした。

新品C4で20周相当の持続ペース

新品C3で24周相当の持続ペースを2回

総合値におけるコンパウンドの比率は、

C4:C3=20:48

となる。

C5は主評価にせず

C5は主に、

  • C3やC4で得た結論の補強
  • 同じタイヤ年齢でのチームメイト比較

に使用した。


分析方法

1. ダーティエアは固定秒数で補正しない

前車との距離は、おおむね以下を目安にした。

  • 1.0秒以内:強いダーティエアまたは攻防の可能性
  • 1.0~1.5秒:影響を受けている可能性が高い
  • 1.5~2.0秒:軽い影響を受ける場合がある
  • 2.0秒以上:基本的には自力に近い

ただし、これは自動的な除外基準ではない。

例えば前車から徐々に離されていく場合、そのタイムは必ずしも「前車に抑えられたタイム」ではない。本人が可能なペースを出した結果として離されている可能性が高いためだ。

反対に、1秒以内で長く追い越しを試み、タイヤを傷めた後に前車から離された場合、その後半を通常のデグラデーションとして扱うことはできない。

前車に合わせて序盤を抑え、前が空いた後にタイヤを使ってペースアップした場合は、前半と後半を別々に切り離さず、一つの持続可能なスティントとして評価した。

2. 燃料補正

フューエルエフェクトは0.038秒/周とした。

35周目相当を基準に、各ラップを以下の式で補正した。

T35​=Traw​+0.038×(Lap−35)

例えば10周目のタイムは、35周目より燃料が重いため0.95秒速い側へ補正される。50周目は燃料が軽いため、0.57秒遅い側へ補正される。

ただし、燃料補正は主に異なる時刻のスティントを比較するためのものだ。同一周回の直接比較では燃料量がほぼ同じなので、補正値そのものは相殺される。

3. 同一周回の直接比較を最優先

最も信頼できる証拠は、

  • 同じ周回
  • 同じコンパウンド
  • 近いトラフィック状況
  • 既知のタイヤ年齢差

で走っている2台の比較である。

この条件では燃料量、路面温度、風、路面進化などの大部分が相殺される。

本稿では、異なる時間帯の補正済みスティント平均よりも、良質な直接比較を優先した。モデルと直接比較が矛盾した場合は、まずモデル側の区間選択やデグラデーション仮定を疑った。

4. ピットラップと異常ラップの除外

基本的に以下を評価対象外とした。

  • 1周目
  • ピット移行ラップとアウトラップ
  • VSCの影響を受けたラップ
  • 周回遅れ車の処理で大きく落ちたラップ
  • ブルーフラッグで譲ったラップ
  • 明白なミスやバトルがあったラップ
  • 前後の形状から説明できない単発の高速ラップ
  • バッテリー回生や放出の影響が強く疑われるラップ

重要なのは、遅いラップだけを都合よく除くことではない。極端に速い単発ラップも、持続可能性が確認できなければ同じように低く評価した。

5. タイヤのデグラデーションはドライバーごと、スティントごとに推定

「C3は1周につき一律0.05秒落ちる」といった共通係数は使用していない。

デグラデーションには、

  • 車両のタイヤ特性
  • ドライバーの使い方
  • スティント序盤の投入量
  • トラフィック
  • スティントの予定距離
  • 路面温度
  • 前後の戦略状況

が反映される。

各スティントについて、燃料補正後のタイム推移にロバストな傾向線を当てたうえで、実際の前後関係と照合した。

回帰線は判断を助ける道具であり、回帰係数そのものを正解とはしていない。

6. 短い攻撃的スティントを、そのまま24周へ延長しない

新品タイヤで数周だけ全開にしたスティントは、序盤だけを見れば非常に速い。しかし、その速度を24周維持できるわけではない。

そこで、

  • スティント序盤の速さ
  • その後の落ち方
  • 同じ相手との差の変化
  • 終盤までに行った仕事量

を一体として評価した。

一方、40~50周を走る1ストップ車は、序盤からタイヤを守る必要がある。生平均が遅くても、24周だけならより速い配分が可能だったと考えられる。

そのため、長いスティントの管理ペースも、そのまま基礎速度とはみなしていない。


上位勢の分析

ノリス――クリアエアで示した、長距離でも持続する最速ペース

ノリスの決勝ペースを判断するうえで、最も重要なのは第3スティントである。

第1、第2スティントではピアストリの後方を走る時間が長く、ラップタイムには前車の影響が含まれていた。一方、39周終了後に新品C3へ交換してからはクリアエアを得て、本来のペースを発揮できる状況になった。

ピアストリの第3スティントと重なるL41~55では、周回遅れや前車への接近によってタイムが乱れた周を除くと、ノリスは平均で約0.86秒/周速かった。ただし、ノリスのタイヤは6周若い。

ピアストリの同スティントにおけるデグラデーションを1周あたり約0.05~0.06秒と見積もると、6周のタイヤ年齢差は約0.30~0.36秒に相当する。したがって、比較区間の同タイヤ年齢における瞬間的な差は、ノリスが約0.5秒/周前となる。

もっとも、この0.5秒をそのまま24周の基準スティントへ当てはめることはできない。ノリスは新品タイヤの序盤に性能を積極的に使っており、スティントが進むにつれてピアストリとの差は縮小している。

序盤の速さと、その後のタイム推移を一体として24周相当に変換すると、持続可能な平均ペースでの優位は約0.1~0.3秒/周に収まる。

本分析では中心値を、

ノリスがピアストリより約0.2秒/周速い

とした。

ノリスの強さは、単に新品タイヤで速かったことではない。必要なタイミングで大きなペースを引き出しながら、スティント全体でも最速の平均競争力を維持した点にある。

ピアストリ――C4では最上位、C3ではノリスに一歩及ばず

ピアストリの第1スティントは、先頭のクリアエアで走った良質なデータである。C4ではタイヤを大きく傷めることなく高いペースを維持しており、柔らかい側のタイヤではノリス、アントネッリ、ハミルトンに対して優位となる可能性がある。

一方、C3ではノリスとの差が表れた。

第3スティントの比較では、タイヤ年齢差を補正した短期速度でもノリスが前にあり、24周相当へ変換しても約0.2秒の差が残る。

サインツとの接触周辺など、タイムが明確に乱れた周は評価から外した。その後のラップには継続的な性能低下が見られず、接触による恒常的なダメージを仮定する必要はない。

また、リタイアの原因となったギアボックスの問題についても、停止直前までペースは比較的安定していた。少なくとも、第3スティント全体を徐々に遅くしていた形跡は確認できない。

したがって、ピアストリの評価は、

ノリスから+0.2秒/周

となる。

C4を重く評価する条件では第2グループの先頭に立つ可能性が高いが、レース全体の持続可能な競争力ではノリスにわずかに及ばなかった。

アントネッリ――長いC3で示した極めて高い持続力

アントネッリの評価を押し上げたのは、第2スティントの長いC3走行である。

ピアストリの第3スティントのC3と重なる主要区間では、アントネッリのタイヤが11周古かった。それにもかかわらず、生のラップタイム差は平均約0.36秒にとどまっており、同じタイヤ年齢へ換算すると両者の差はほぼ消える。

つまりC3では、

アントネッリとピアストリは実質的に互角

だったと考えられる。

ハミルトン――結果以上に速かったC3ペース

ハミルトンの決勝ペースは、フィニッシュ順位から受ける印象よりも強い。

中心となるのは第3スティントのC3である。ピアストリと重なる正常区間では、ハミルトンのタイヤが3周古かったにもかかわらず、生タイムはほぼ同等だった。

平均ではハミルトンが約0.07秒遅い程度で、中央値ではほとんど差がない。C3のデグラデーションを1周あたり約0.04~0.05秒とすると、3周の年齢差は約0.12~0.15秒に相当する。

同じタイヤ年齢へ換算すれば、

ハミルトンがピアストリより約0.05~0.1秒速い

という推定になる。

第2スティントのC3でも、フェルスタッペンとの差は徐々に広がっていた。前車にペースを制限され続けていたというより、ハミルトン自身の競争力がフェルスタッペンよりわずかに低く、その結果として離されたと考える方が自然である。

一方、ハミルトンにはC4の実走データがない。C3でのわずかな優位を仮想レース全体へそのまま適用することはできないため、ピアストリ、アントネッリと同じ、

ノリスから+0.2秒/周

とした。

C3を中心に見るなら、ハミルトンは第2グループの先頭候補である。

フェルスタッペン――両コンパウンドで上位3人にわずかに届かず

フェルスタッペンのC4は、先頭を走るピアストリとの比較が最も分かりやすい。

L7~13ではタイヤ年齢が同じで、フェルスタッペンは前方のノリスから約2~3秒離れていた。極端なダーティエアの影響を受ける状況ではなく、この区間ではピアストリより平均約0.15秒遅かった。

比較範囲を少し広げても、差はおおむね0.15~0.25秒に収まる。

C3では、L20~28でノリスとの比較が可能である。

この区間ではフェルスタッペンのタイヤが3周古く、生タイムではノリスが平均約0.38秒速かった。タイヤ年齢差を補正すると差は約0.2秒まで縮まるが、ノリスはピアストリの直後を走っていたため、実際の差がそれより小さかったとは考えにくい。

したがってフェルスタッペンは、

  • C4でピアストリから約0.2秒後方
  • C3でノリスから少なくとも約0.2秒後方

という位置にいた。

総合評価は、

ノリスから+0.3秒/周

である。

トップグループとの差は大きくないが、どちらの主要コンパウンドでも明確に最速だった区間は少ない。

ルクレール――C3とC5で異なった競争力

ルクレールのC3ペースは、2本のスティントで大きく異なっていた。

第2スティントでは、3周古いタイヤを履くハミルトンを後方から追い上げた。L20~25ではルクレールが生タイムで平均約0.32秒/周速く、3周分のタイヤ年齢差を補正しても約0.20秒の優位が残る。

この区間の前半はハミルトンがフェルスタッペンの近くを走り、後半はルクレールがハミルトンの1秒以内まで接近している。両者とも異なるタイミングでダーティエアの影響を受けていたことを考えると、第2スティントの持続可能なペースは少なくとも互角で、ルクレールがわずかに速かった可能性もある。

同じタイヤ年齢だったL20~22ではピアストリの方が約0.5秒速かったが、ピアストリはクリアエアで、より短いスティントを走る配分だった。この3周の差を、そのまま基準となる24周のペース差としては扱っていない。

一方、第3スティントでは状況が異なる。クリアエアでラップタイムが安定したL50~55では、ルクレールはハミルトンより生タイムで約0.29秒遅かった。ルクレールのタイヤが6周若かったことまで考慮すると、このスティントではハミルトンが明確に速かった。

終盤のC5では両者が再びほぼ互角だった。

したがってルクレールは、レースを通して一貫してハミルトンより遅かったのではなく、第2スティントでは同等以上、第3スティントでは明確に後方という、スティント間の振れが大きいレースだった。

2本のC3と終盤のC5を総合し、

ノリスから+0.4秒/周

と評価した。

ラッセル――集団内の序盤より、C3で見えた実力を重視

ラッセルはスタートで大きく順位を落とし、第1スティントの多くを集団内で走った。追い越しや前車への接近が続き、タイヤを自由に配分できる状況ではなかったため、C4の生平均は本来の競争力を正確に表していない。

評価の中心は、中盤のC3スティントである。

ハミルトンと比較可能なL35~36では、ラッセルのタイヤが3周古く、生タイムでは約0.37秒遅かった。タイヤ年齢差を補正すると、実質的な差は約0.2~0.25秒となる。

後半にも同じ方向の証拠はあるが、ラッセルは複数の前車へ順次追いついており、全区間を単純平均するとトラフィックの影響を含んでしまう。

ハミルトンをノリスから+0.2秒と評価したことを踏まえると、ラッセルの中心値は、

ノリスから+0.5秒/周

となる。

ルクレールとの細かな順序は安定しない。C3を重くすればラッセル、柔らかいタイヤを重くすればルクレールが有利になる可能性がある。

ハジャー――C3では上位に迫ったが、C4が総合値を下げた

ハジャーの終盤のC3スティントは、このレースでも特に印象的な走行の一つだった。

一部の区間ではノリスに近いラップタイムを記録している。ただしハジャーのタイヤはノリスより若く、短いスティントを前提に比較的積極的に使える状況だった。

タイヤ年齢差とスティント形状を補正すると、C3での持続可能な差はノリスから約0.3~0.5秒と推定される。

一方、第1スティントのC4ではピアストリをはじめとする上位勢との差が大きく、C3だけを見てトップグループへ置くことはできない。

両コンパウンドを基準配分で合成し、

ノリスから+0.7秒/周

とした。

C3をより重く評価する条件では、ルクレールとラッセルのグループにかなり近づく。

中団上位の分析

ボルトレト――1ストップ戦略が隠した中団最速ペース

中団で最も注意が必要だったのがボルトレトである。

C3を40周走る1ストップ戦略だったため、スティント平均だけを見ればローソン、リンドブラッド、ヒュルケンベルグより遅く見える。しかし、40周を持たせるペース配分と、基準となる24周の配分は同じではない。

主要な比較区間はL33~35、L39~41である。前方との間隔が十分にあり、ラップタイムも安定している。

ローソンとの同一周回比較では、

  • ボルトレトのタイヤが8周若い
  • 生タイムではボルトレトが約1.29秒速い

という結果だった。

8周の年齢差を戻しても、ボルトレトは約0.4~0.5秒速い。しかもボルトレトは40周を走り切るためにタイヤを管理しており、短い攻撃的スティントだったから速く見えたわけではない。

リンドブラッドとの比較でも同じ方向の結果が出る。

C4を使用していないため総合値には一定の不確実性が残るが、C3の証拠は明確である。

ボルトレトは中団3台より一段前の、ノリスから+1.2秒/周

と評価した。

ヒュルケンベルグ、ローソン、リンドブラッド――異なる戦略でほぼ同じ競争力

この3人は、最終的には同じグループにまとまった。

ヒュルケンベルグ

L26~38でリンドブラッドと直接比較できる。

ヒュルケンベルグのタイヤは1周古かったが、生タイムでは平均約0.04秒速かった。同じタイヤ年齢ならヒュルケンベルグがわずかに前となる。

ただし前車との距離は1.7~2.3秒程度で、軽いダーティエアとDRSの双方が混在し得る。0.1秒の序列を断定できるほどの差ではない。

ローソン

C4、C3の双方で大きな崩れがなく、3人の中では最も均整の取れた証拠を持つ。

リンドブラッドとのC3比較では、ローソンが生タイムで約0.09秒速かったが、タイヤも1周若かった。年齢差を戻せば、ほぼ完全に互角となる。

リンドブラッド

49周のC3スティントを完走したため、後半の生タイムは短いスティントの車より遅くなる。しかし、序盤から大幅にペースを落としていたこと自体が、長距離を成立させるための戦略だった。

24周条件へ変換すると、ローソンとの差はほとんど残らない。

以上から、

ヒュルケンベルグ=ローソン=リンドブラッド:+1.5秒/周

とした。

C4を重くすればローソン、長いC3を重くすればヒュルケンベルグとリンドブラッドがやや有利になる。

中団後方の分析

ガスリー――アルピーヌ勢の基準となる安定したペース

ガスリーは、コラピントとの直接比較によって比較的明確に評価できる。

後半のC3スティントのL41~46、L48~51では、ガスリーのタイヤが2周若く、生タイムでは約0.43秒速かった。

タイヤ年齢差を戻しても、ガスリーが約0.3~0.35秒速い。

前半のC3スティントやC4でも同じ方向の差が確認でき、コンパウンドを変えてもチームメイトに対する優位は安定している。

総合は、

ノリスから+2.0秒/周

とした。

コラピント――クリアエアでは一定の速さを示した

コラピントの前半のC3スティント序盤はストロールの後方を走る時間が長く、主要なペース評価には適さない。

中心となるのは、後半のC3スティントでクリアエアを確保した区間である。ここではラップタイムのばらつきが比較的小さく、タイヤ年齢差を補正したガスリーとの比較でも、約0.3~0.4秒の遅れに収まる。

結果として、

ノリスから+2.4秒/周

とした。

オコンよりは明確に前だが、ガスリーとの差も同様に明確である。

アロンソとストロール――C3不在のため順位より範囲を重視

アストンマーティン勢は、基準の中心となるC3を使用していない。このため、C4とC5から総合競争力を推定する必要がある。

アロンソの後半C4は比較的安定しており、ストロールの長いC4より0.1~0.3秒速い方向を示している。C5の証拠も同様だが、走行時刻、タイヤ年齢、新品と中古の違いがあり、精密な直接比較にはならない。

中心値は、

  • アロンソ:+2.2秒/周
  • ストロール:+2.4秒/周

とした。

オコンとベアマン――中心値は同じでも、証拠の質は異なる

オコンは後半のC3スティントに比較的まとまった正常区間があり、コラピントとの比較では約0.2~0.3秒後方となる。

一方、ベアマンのC3はサインツやボルトレトの近くを走る区間が多く、クリアな長期データが少ない。C4ではオコンとほぼ同等だったため、総合値も同じグループへ置いた。

両者とも、

ノリスから+2.7秒/周

である。

サインツ、アルボン、ペレス――下位グループにも異なる特徴

サインツ

C4の正常区間ではオコンやベアマンから大きく離れておらず、単純な決勝結果ほど遅くはなかった。

一方でC3の実走がなく、終盤C5には中古タイヤ、周回遅れ処理、接触周辺の影響が混在する。

中心値は、

+2.9秒/周

とした。

アルボン

C4ではオコンやベアマンに近い区間があるが、C3ではオコンに対して明確な遅れが見られる。

終盤C5も前車の直後を走る時間が長く、上方評価につながる良質な証拠は少ない。

中心値は、

+3.0秒/周

である。

ペレス

ペレスは2本のC4スティントから定量評価できる。

第1スティント序盤は前車に近かったが、その後は徐々に離され、L8以降は自分のペースを示す区間が増えた。ボッタスとの同年齢比較では、ペレスが約0.4秒遅い。

第2スティントには、序盤からタイヤ年齢が進んだ後半までを含む長い正常区間がある。サインツとの比較では、ペレスのタイヤが3周若い状態で生タイムがほぼ同等だったため、同年齢ならサインツより約0.1~0.2秒遅いと推定される。

第1スティントより第2スティントの方が明確に良く、2本の間には大きな幅がある。C3の実走がないことも含め、推定範囲は広くなる。

総合は、

ペレス:+3.3秒/周

とした。

下位ではあるが、評価不能ではない。特に第2スティントだけを見れば、サインツやアルボンにかなり近い競争力を示していた。


まとめ

最速評価はノリスとなった。クリアエアを得た第3スティントでのペースは圧巻であった。

その直後には、ピアストリ、アントネッリ、ハミルトンが並ぶ。

フェルスタッペンは両主要コンパウンドで上位勢に近いペースを示したが、C4ではピアストリ、C3ではノリスにわずかに届かなかった。

ルクレールは、スティントによるペースの変動が大きかった。第2スティントのC3ではハミルトンと同等以上のペースで追い上げた一方、第3スティントではハミルトンより明確に遅かった。

ラッセルは序盤の集団走行によって評価が難しかったが、C3でのハミルトンとの比較から、ルクレールの直後に位置すると考えられる。

ハジャーはC3で上位勢に近い速さを見せた一方、C4では差が大きかった。

中団ではボルトレトが最も高い評価となった。40周のC3スティントを走ったため、生の平均タイムでは速さが見えにくい。しかし、24周の基準距離へ変換すると、ヒュルケンベルグ、ローソン、リンドブラッドより約0.3~0.5秒速いペースが残る。

その後ろのヒュルケンベルグ、ローソン、リンドブラッドは、戦略やスティント長こそ異なるものの、同条件へ換算するとほぼ互角となった。

中団後方では、ガスリーがコラピントより約0.3~0.4秒前に位置する。アロンソとストロールはC3を使用していないため不確実性が大きいが、アロンソがわずかに優勢と推定した。

オコンとベアマンは中心値こそ同じだが、オコンの方が定量的なC3データは多い。サインツとアルボンはその直後に並ぶ。

ChatGPT 5.5 Thinking, Takumi


インタラクティブグラフ

ご自身の視点でさらにデータを深掘りしたい方向けに、操作可能なグラフを用意した。

このツールでは、**「ペースグラフ」と「ギャップグラフ」**の二種類が利用でき、ボタン操作で見たいドライバーだけを自由に選んで表示できる。

特にラップタイムグラフには、レース状況を理解しやすくするための工夫が施されている。

  • 塗りつぶしの点:前が空いている状態(クリアエア)でのラップを示す。
  • 白抜きの点:前のマシンの影響下(ダーティエア:前方2秒以内)にあるラップを示す。

この色分けによって、各ドライバーがどのような状況でそのタイムを記録したのかが一目で把握できる。

また、グラフ右上のボタンからは、画像のダウンロードやグラフの拡大・縮小(ズーム)も可能だ。分析の補助として、ぜひご活用いただきたい。

Race Lap Time Interactive Graph

Lap Times

Drivers:

Gap to Leader