1. 分析結果と結論
先に分析結果を示す。分析の過程については次項「2. レースペースの分析」をご覧いただきたい。
表1 ウェットコンディションでのレースペース
ウェットではフェルスタッペンが最速も、ルクレールはペレスを上回った。中団最速はノリス、そしてアルファタウリ勢はこの時点では非常に苦戦していた。
表2 ドライコンディションでのレースペース
ドライではレッドブル勢が最速、ルクレールはやや遅れをとった。また中団最速はボッタス、そこに0.2秒差で角田が続いた。ウェットコンディションでは厳しかったアルファタウリだが、ドライでは非常に高いパフォーマンスを発揮した。
全体としてはフェラーリはウェットの方が競争力があった。逆にボッタスやマグヌッセンらはドライの方が競争力があった。ノリスとラッセルはどちらでも安定して力を発揮している。一方、その他の中団勢はウェット路面では全く本来のパフォーマンスを引き出し切れておらず、大きな差がついてしまい、ドライになると一転、息を吹き返しているのも興味深い所だ。
2. レースペースの分析
以下に分析の内容を示す。フューエルエフェクトは0.06[s/lap]で計算した。
また、各ドライバーのクリアエアでの走行時を比較するために、全車の走行状態をこちらの記事にまとめた。
2.1. ウェットコンディションでのペース
ウェットでのペースは全てフェルスタッペンとの比較で見ていこう。
ペレスはフェルスタッペンの0.4秒落ち、ルクレールは0.2秒、ノリスは1.0秒、ラッセルとボッタスは1.2秒落ちだ。
マグヌッセンはフェルスタッペンの1.5秒落ち、ベッテルは2.4秒、オコンは2.5秒落ちだ。
角田はフェルスタッペンの2.8秒落ち、ガスリーは3.0秒、アルボンとラティフィは3.3秒落ちだ。
ウィリアムズ2台は開放端クリアエア（スティント前半でダーティエアでも、そこでタイヤを過度に酷使せずにスティントの終盤にクリアエアで走れている状態。2022年シーズンより当サイトで定義。開放端クリアエアではスティント全体をクリアエアとして扱って良いものとする。）で、スティント全体で計算した。
これらを総合し、表1の結論を得た。
2.2. ドライコンディションでのペース
2.2.1. チームメイト比較
続いてはドライコンディションについて、まずは比較可能なチームメイト同士から見ていこう。
平均でフェルスタッペンが0.19秒ほど上回っており、タイヤの差も微々たるもので、0.2秒差として良いだろう。
平均でベッテルが0.27秒ほど上回っており、タイヤの差も微々たるもので、0.3秒差として良いだろう。
平均でボッタスが0.61秒ほど上回っており、タイヤの差はない。0.6秒差として良いだろう。
第2スティントの平均でマグヌッセンが0.03秒ほど上回っており、タイヤの差はない。互角として良いだろう。
2.2.2. チームを跨いだ比較
続いてはライバルチーム同士を比較していこう。
ルクレールはペレスとの比較の方がしやすいかもしれない。その上で計算すると、ペレスよりも平均0.04秒ほど遅い。ペレスのタイヤが1周古いことを、デグラデーション0.06[s/lap]で考慮すると、実力的にはがペレスが0.1秒ほど上回っていたと言える。
まずボッタスはペレスの0.5秒落ちでタイヤの差はない。
ノリスは平均でボッタスの0.30秒落ちで、タイヤの差は微々たるものだ。0.3秒差として良いだろう。
ラッセルは平均でノリスの0.09秒落ちで、タイヤの差は微々たるものだ。0.1秒差として良いだろう。
角田はノリスを平均0.10秒上回っており、タイヤの差は微々たるものだ。0.1秒差として良いだろう。
ベッテルは平均でボッタスの0.57秒落ちで、タイヤの差は微々たるものだ。0.6秒差として良いだろう。
マグヌッセンは平均でボッタスの0.53秒落ちで、タイヤの差はない。0.5秒差として良いだろう。
オコンは平均でボッタスの0.91秒落ちで、タイヤの差はない。0.9秒差として良いだろう。
ラティフィは平均でボッタスの0.66秒落ちで、タイヤの差はない。0.7秒差として良いだろう。
これらを総合し、表2の結論を得た。
Analyst: Takumi