2026年F1メキシコGPは、マックス・フェルスタッペンが優勝を飾り、ルイス・ハミルトンが2位、キミ・アントネッリが3位に入った。
71周のラップタイムと各車のタイヤ履歴を分析すると、純粋なレースペースではフェルスタッペンとシャルル・ルクレールがほぼ互角の最速という結果になった。
アントネッリが約0.1秒差、ハミルトンとランド・ノリスが約0.2秒差、ジョージ・ラッセルが約0.3秒差で続く。上位6人の実力は非常に接近していた。
レースペース分析結果
| ドライバー | ペース差 | 信頼度 |
|---|---|---|
| ルクレール | 0.0 | A |
| フェルスタッペン | 0.0 | A |
| アントネッリ | +0.1 | B |
| ハミルトン | +0.2 | B |
| ノリス | +0.2 | B |
| ラッセル | +0.3 | B |
| ピアストリ | +0.5 | A |
| ハジャー | +0.8 | B |
| リンドブラッド | +1.1 | B |
| コラピント | +1.2 | A |
| ヒュルケンベルグ | +1.3 | B |
| ベアマン | +1.3 | C |
| ボルトレート | +1.4 | B |
| ペレス | +2.0 | B |
| サインツ | +2.1 | C |
| アルボン | +2.5 | C |

※最速を0.0とした、1周あたりの推定ペース差(秒)。小数点第2位を四捨五入。
分析方法と共通条件
今回の分析では、全ドライバーがSoft(C5)とMedium(C4)をほぼ半分ずつ使用する、71周の1ストップレースを共通条件とした。
実際のレースでは赤旗やセーフティカーによって戦略が変化したが、両コンパウンドとも半分程度のレース距離を走れる性能を持っていた。
SoftとMediumのレースペース差については、両コンパウンドを逆の順序で使用したフェルスタッペンとピアストリ、フェルスタッペンとリンドブラッドの比較から、Softが約0.2秒/lap速いと推定した。
フューエルエフェクトは1周あたり0.037秒として計算。タイヤデグラデーションは、各ドライバーのペースモードが安定している区間から推定した。
また、メキシコは標高が高く、冷却性能の制約から前車との距離を意図的に広げる場面が多かった。そのため、各周のタイムを積算したギャップ推移を調べ、トラフィックやペースコントロール、周回遅れの影響を吟味した。
ルクレールとフェルスタッペンが最速
今回の最速評価となったのは、フェラーリのルクレールとレッドブルのフェルスタッペンだ。
両者が自由に走れていた第1スティントのL12〜24では、Mediumを履くフェルスタッペンが、Softを履くルクレールより平均約0.18秒遅かった。
ここに約0.2秒のコンパウンド差を適用すると、両者の純粋なレースペースはほぼ同じになる。
ルクレールは序盤から安定して速く、フェルスタッペンも異なるコンパウンドでそれに匹敵する走りを見せていた。
優勝したフェルスタッペンと4位に終わったルクレールだが、持続可能なレースペースでは両者が最速を争う関係だったと考えられる。
アントネッリ、ハミルトン、ノリスも僅差
3番手はアントネッリの+0.1秒。
アントネッリは第1スティントの前半、ハミルトンの後方でタイヤや冷却を管理していた。前方の車がピットインするとペースを引き上げ、その後も40周以上使用したSoftで高い競争力を維持している。
この前半の管理と後半のペースアップを一つのスティントとして評価すると、ルクレールから約0.1秒差という結果になる。周回遅れの影響が大きかったL38〜39は評価から除外した。
ハミルトンは+0.2秒。序盤はフェルスタッペンの後方で冷却に苦しんだ可能性があるものの、L14付近からペースが安定した。L14〜24のルクレールとの比較では、平均約0.19秒差だった。
フェルスタッペンとのギャップもスティント終盤まで徐々に広がっており、この区間はハミルトン自身の持続可能なペースをかなりよく表していると判断できる。
ノリスも+0.2秒と評価した。
ノリスは第1スティントの大部分をラッセルの後方で走っていたが、ラッセルがピットインしてからはクリアエアを得て、さらに約5周を走行した。
その際のペースアップは比較的小さく、前半のタイヤ温存と後半の走行を合わせて一つのスティントとして評価できる。
同じ新品Softでスタートしたアントネッリとの差は約0.1秒。そこからルクレール比で約+0.2秒となる。
ラッセルは+0.3秒。第1スティントのラップタイム推移は非常に安定しており、ルクレールとの直接比較に加え、アントネッリとの比較でも概ね同じ結論が得られた。
ピアストリはトップ集団から約0.5秒差
ピアストリは+0.5秒となった。
ルクレールと同じ新品Softで走った第1スティントのL14〜24では、平均約0.52秒差。タイヤ年齢とコンパウンドが一致しているため、非常に信頼性の高い比較だ。
第2スティントではトラフィックの影響が大きかったが、第1スティントだけでもピアストリの相対的な競争力はかなり明確に把握できる。
ノリスとの差は約0.3秒。今回のマクラーレンは、チーム内でもレースペースに明確な差が生じていた。
中団ではハジャーとリンドブラッドが先行
中団グループでは、ハジャーとリンドブラッドがともに+1.1秒で最上位となった。
ハジャーはMediumでクリアエアを確保した区間が評価の中心となる。コラピントなどとのタイヤ年齢差を補正すると、+0.8秒前後に収まる。
リンドブラッドはSoftとMediumの両方に比較可能な区間があり、トップ勢との差を比較的安定して推定できた。
続くコラピントは+1.2秒。フェルスタッペンと同じ新品Mediumでスタートしており、同一周回・同一タイヤ年齢の直接比較では平均約1.17秒差だった。中団の中でも特に信頼できる評価の一つだ。
ヒュルケンベルグは+1.3秒、ボルトレートは+1.4秒。両者ともMediumの比較から競争力を推定した。
ベアマンは+1.3秒としたが、信頼度はCとしている。
ベアマンは第1スティントで長く集団に捕まっていたものの、L19とL34〜39の比較的自由に走れた区間のタイム推移には一定の整合性があった。タイヤ温存の影響を完全に分離することは難しいため、数値には幅がある。
後方ではペレスが+2.0秒、サインツが+2.1秒、アルボンが+2.5秒となった。
特にサインツとアルボンはトラフィックやタイヤ年齢差の影響が大きく、短いクリアエア区間とデグラデーション補正への依存度が高い。そのため、両者の信頼度はCとした。
参考扱い・評価対象外
ガスリー、ローソン、平川亮の3人は、総合的なペース差の算定を保留した。
ガスリーはパワーユニットの問題とトラフィックが重なった。ローソンは使用済みSoftの履歴や前方車との位置関係に不確実性が大きい。平川は序盤に学習を優先した走行を行い、後半もトラフィックによる制約が大きかった。
ボッタス、アロンソ、ストロールは、故障や走行周回数の不足により評価対象外とした。
総括
2026年メキシコGPは、ルクレールとフェルスタッペンが最速を分け合い、アントネッリ、ハミルトン、ノリス、ラッセルが0.3秒以内に並ぶ、トップ集団の実力が非常に接近したレースだった。
その後方ではピアストリが+0.5秒、さらにハジャーとリンドブラッドが+1.1秒で続いた。
今回特に特徴的だったのは、高地の冷却条件とオーバーテイクの難しさによって、多くのドライバーが前車との間隔やタイヤの使用ペースを慎重に管理していたことだ。
トラフィックから解放された後のペース、タイヤ年齢差、スティント全体のペース配分まで追うことで、実際の順位からは見えにくい各車の競争力が浮かび上がった。